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「価値観の違う相手とどう話せばいいのかわからない」「こちらの話は聴いてもらえず、一方的に話されてしまった」コミュニケーションの悩みは尽きないもので、ちょっとしたことで相手に不快感を覚えたり、逆に不快感を与えてしまったりすることは多々あります。研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任し、25万人以上への指導経験を持つ、日本アンガーマネジメント協会理事である戸田久実氏の著書『アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術』(日経文庫)より、一部抜粋して紹介する本連載。特に職場のコミュニケーションを円滑にし、人間関係を劇的に改善する「傾聴」の極意について紹介します。 

沈黙が必要な人もいる

あなたは、沈黙が気になるタイプですか? 相手とのやりとりにて、何も話さない「間」が数秒あるだけで気になるという、必要以上に沈黙を嫌がる人もいます。

 

わたしは、考えを頭の中でめぐらせて、噛みしめ、理解しようとするときの「間」が必要ではないかと感じています。頭の回転が速い人ばかりではありませんし、混乱している人は、なかなか会話が続かないものです。

 

一方、相手の「間」を待っている間に、相手の表情をジッと見すぎて、相手に威圧感を感じさせてしまうことがあります。とくに自分が年齢や立場が上にあたるときには、相手が萎縮してしまいやすいので、あまり凝視しないよう注意しましょう。

 

沈黙の時間は、相手が落ち着いて、深く思案している時間です。相手が心地よさそうにしているのであれば、大切な時間を遮らないように、平均5秒ほどは待つようにしてください。もし何も言うことがなくて困っている様子であれば、声をかけるようにしましょう。これは、数を重ねることで判断できることです。

相手を観察し、沈黙が必要かを見極める

部下を持って間もない人、打ち合わせにそこまで慣れていない人、人前であがってしまう人は、沈黙を怖いものだと感じがちです。このタイプの人は、沈黙の時間があると、「何?」「どうした?」 と急かす言葉を入れたり、意見やアドバイスを差し込んでしまうことがあるので注意したいところです。相手をしっかり観察して、不要な言葉がけをしないようにしましょう。

ペースは相手に合わせるのが基本だが、速く話す人には…

相手の話すペースに合わせるのも、重要なポイントです。たとえば、コンサルティングをするときや相談を受けるときには、なるべく相手のペースに合わせるようにしましょう。

 

ゆっくり話す人には、相手の呼吸に合わせ声をかけてあげてください。反対に、とてもせっかちで、話すテンポが速い人もいます。このタイプの人と話すときには、会話のペースをやや遅くするよう意識し、相手より少しだけ遅く話すのが理想的です。会話の速さの調節をしないと、どんどん速くなってしまうので、落ち着いて話せるように、ペースを半テンポ遅らせてみてください。

 

たとえば、会議などの場で複数名で話すときにも、進行役の人が速いペースで話すと、まわりの人がついてこられないことが多々あります。ファシリテーター役は早口な人に対して、「〇〇さん、△△というご意見ですね」「これはぜひみなさんと共有したいので、繰り返し言います」 と、少しゆったりとした口調で言いながら、全体の会話のペースをつくっていくのがおすすめです。

 

それ以外のとき、ペースはなるべく相手に合わせるのが基本です。ペースを合わせることによって、話し手はとても話しやすくなります。

 

早口な人に対しては、あえてペースを遅らせることで会話が上滑りすることを防ぐことができます。ただ、あまりモタモタするとイライラされてしまう可能性もあるので、ペースの調整の仕方には注意しましょう。

 

 

戸田 久実

アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事

 

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