4.適切な営業目標を設定し、追跡する
営業に数値目標は必須といえます。では、どの数値を追いかけるべきでしょうか? これは事業モデルや会社によって異なるでしょう。大半の会社では、
・粗利
・個数
のいずれか、または複数を目標にしていると思いますが、本当にそれが適切かを再検討してみる価値もあると思います。
■営業が自己都合で操作できる数値になっていないか?
たとえば、ITの人材派遣や開発受託をしている会社に勤めていた筆者の会社員時代の話を例に挙げましょう。営業は「人材派遣」か「開発受託」の2つのサービスを扱っています。そこで毎月の営業成績を営業会議で発表するのですが、成果が上がっていなければ詰められます(ちなみにその会社は仕組み化という発想があまりなく、営業は気合と根性でした)。
成績の発表は「人材派遣」「開発受託」別々で行います。人材派遣のほうは、今月何人の派遣を決めたか? 開発受託のほうは今月いくらを売り上げたかです。
いま考えると、実はこの数値の追い方に問題がありました。人材派遣の成績は、毎月リセットされます。たとえば、先月10人送りだせば「よくやった」と褒められるのですが、今月はまたゼロからスタートします。今月1人しか送り出せなければ、先月の実績は関係なく、「なにやっているんだ!」と責められるのです。
一方、「開発受託」のほうの成績は、どんどん積みあがっていきます。たとえば、先月、毎月100万円いただける仕事を獲得したら、今月はすでに100万円からスタートします。毎月数字がどんどん積みあがっていくので、あまり詰められることがなく、褒められるケースが多いのです。
こうなると営業としては、人材派遣の案件であっても社長には受託ということで報告しておこう、というようなよからぬ操作が発生するのです(本来、派遣と受託ではまったく異なるのでよくないのですが) 。
5.営業のプロセス管理
営業のプロセス管理とは、顧客の意思決定プロセスに合わせて、営業活動を分解し、それぞれのフェーズですべきことを明確にしていくことです。以下の図は極めて簡略化したものですが、営業プロセスの例です。
■売れている営業と売れていない営業の違いが可視化できる
プロセスがない会社では、最後の成約数や成約金額だけしかわかりません。これだけだと、売れている営業と売れていない営業の違いがどこにあるのかがわかりません。結果として気合と根性論になるのです。営業プロセスを可視化することで、プロセスごとの数値管理ができます。
すると、売れていない営業はヒアリングから見積もりに進めていないケースが多い、というようなことがわかったりします。では、売れている営業はどのように見積もりまでこぎつけているのかを調べれば、売れる営業のノウハウを横展開できるのです。
■目標達成への道筋が見える
営業マネージャーとしては、目標達成までの道筋が描きやすくなります。プロセス管理していれば、新規訪問した顧客のうち、最終的に成約まで至る顧客が何件あるかを過去のデータから把握することができます。すると、今月の目標を成約数を達成するために、新規訪問を何件しなくてはいけないかがわかるのです。
■部下へのフォローが明確になる
また、部下をサポートする場合にも、「いま見積もり段階にいるこの3件の顧客を集中的にフォローして成約まで持っていこう」というような具体的な指示ができるようになります。
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