(※写真はイメージです/PIXTA)

20世紀に入ると、ロシアでは国民の生活が急激に悪化し、民衆による不満が爆発。2度の革命を経て「ソヴィエト社会主義共和国連邦」が発足しました。ただ、この「ソヴィエト政権」誕生の裏には、ロシアの権力争いに干渉する「ヨーロッパ諸国の思惑」があったと、『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)の著者で河合塾講師の平尾雅規氏はいいます。いま、なにかと話題のロシアの歴史を、平尾氏が解説します。

20世紀初頭に起きたロシアの「共産主義革命」

かつてマルクスは、あらゆる国家において共産主義革命は必ず起こる、と予言しました。ロシアでは20世紀初頭にマルクス主義のロシア社会民主労働党が成立し、レーニンがその一派であるボリシェヴィキを率いました。

 

この時期、農村からの革命を目指したナロードニキ(人民主義者)の流れをくむ社会革命党(SR[エスエル])、ブルジョワ政党立憲民主党(カデット)も成立しました。

 

「血の日曜日事件」が発端となり、「第1次ロシア革命」が勃発(1905年)

第1次ロシア革命日露戦争のさなか、民主化と戦争中止を訴えたおよそ10万人の請願デモに軍が発砲し、約2000人の死傷者がでた血の日曜日事件が革命の発端。ここに日本海海戦で敗北した報せも届き、国内は蜂の巣をつついたような大騒ぎになって、政府は国内を制御できなくなってしまいました。

 

戦争どころではない、と政府は9月にポーツマス条約に調印し、翌月にニコライ2世は十月宣言国会[ドゥーマ]開設と憲法制定を約束すると、革命はひとまず鎮静化しました。

 

ところが、国民が大人しくなったのを見たニコライ2世は手のひらを返して反動化。議会は骨抜きにされ、革命派は徹底的に弾圧されました。

 

第一次世界大戦突入…「ソヴィエト」誕生の一方、資本家中心の「臨時政府」も成立

第1次革命が不完全燃焼で燻っている状況下で、ヨーロッパは第一次世界大戦に突入しました。総力戦に伴って日露戦争以上の生活苦に見舞われた民衆が、1917年3月に再び大爆発!

 

女性労働者のデモに男性が合流し、鎮圧を命じられた兵士までも仲間に加わる始末で、彼らはソヴィエト(評議会)を結成しました。

 

一方で資本家などを中心とする臨時政府も成立し、観念したニコライ2世は退位して300年余り続いたロマノフ朝はここに滅亡しました(なお「三月革命」「二月革命」と複数の表現があるのは、ロシアで世界的に定着していたグレゴリ暦とは別の暦が用いられていたからです)。

 

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※本連載は、平尾雅規氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる世界史

大人の教養 面白いほどわかる世界史

平尾 雅規

KADOKAWA

「なぜ、戦争や紛争が絶えないのか?」「なぜ、国によって考え方・風習・生活が違うのか?」 ……答えは高校時代に習った世界史の授業のなかにあったはずなのに、大人になったいま、その答えがすっぽりと抜け落ちていません…

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