(※写真はイメージです/PIXTA)

20世紀に入ると、ロシアでは国民の生活が急激に悪化し、民衆による不満が爆発。2度の革命を経て「ソヴィエト社会主義共和国連邦」が発足しました。ただ、この「ソヴィエト政権」誕生の裏には、ロシアの権力争いに干渉する「ヨーロッパ諸国の思惑」があったと、『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)の著者で河合塾講師の平尾雅規氏はいいます。いま、なにかと話題のロシアの歴史を、平尾氏が解説します。

「二重権力」となるも、「十一月革命」でソヴィエトに軍配

第一次世界大戦を続けたい臨時政府、やめたいソヴィエト

こうして、ロシアはソヴィエトと臨時政府が併存する「二重権力」の状況に。この時点で最大の焦点になったのは、新しい政治・経済体制ではありません。「未曾有の物量戦となった大戦を続けるのか、やめるのか」という議論です。

 

ここでちょっと英仏の気持ちになってみましょう。英仏としてはこのままロシアに参戦し続けてほしいに決まってます(ドイツを挟めるから)。臨時政府がドイツと戦い続けてくれれば、英仏は大喜びで「サンキュー! メルシー! 臨時政府こそ正当なロシア政府の後継だ」とお墨付きをくれるわけですね。臨時政府が大戦を続けようとしたのには、こんな狙いがあったんです。

 

だけど、ソヴィエトにとってみればたまったもんじゃない。四月に亡命先から帰ってきたボリシェヴィキのレーニンはソヴィエトに参加して「即時停戦! ソヴィエトに権力を!」と叫び臨時政府との対決姿勢を明確にしていきます。

 

ボリシェヴィキが蜂起し「十一月革命」に…臨時政府は崩壊

11月7日、支持を拡大させたボリシェヴィキが蜂起して臨時政府を崩壊させました(十一月革命)。翌日、暫定の政府を発足させたレーニンは「平和に関する布告」と「土地に関する布告」を発しました。

 

前者は全交戦国に和平を呼びかけるものでしたが、味方である連合国は完全無視(共産主義者の訴えになど答えるはずはありませんからね)。一方で、ロシアとフランスによる挟みうちから脱したいドイツはロシアとの停戦交渉に応じました。後者は地主の土地を没収するもので、リアル共産主義の始まりといえます。

 

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※本連載は、平尾雅規氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる世界史

大人の教養 面白いほどわかる世界史

平尾 雅規

KADOKAWA

「なぜ、戦争や紛争が絶えないのか?」「なぜ、国によって考え方・風習・生活が違うのか?」 ……答えは高校時代に習った世界史の授業のなかにあったはずなのに、大人になったいま、その答えがすっぽりと抜け落ちていません…

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