【世界史】19世紀後半、覇権国イギリスに迫る急成長のドイツ…立役者の“鉄血宰相”ビスマルクが国内で批判されていたワケ

【世界史】19世紀後半、覇権国イギリスに迫る急成長のドイツ…立役者の“鉄血宰相”ビスマルクが国内で批判されていたワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

「ドイツの統一は雄弁や多数決によってではなく、鉄と血、すなわち兵器と兵力によってのみ達成される」と主張したことから“鉄血宰相”と呼ばれたビスマルク。強権・武力主義のイメージがあるビスマルクですが、彼には意外な側面がありました。『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)の著者である河合塾講師の平尾雅規氏が、学校では教えてくれない「歴史の裏側」を解説します。

領土を拡大したいドイツの3B政策vs.イギリスの3C政策

ケンカしているオーストリアとロシア、この双方にいい顔をした「八方美人」がビスマルク。対してヴィルヘルム2世は、ドイツの親戚であるオーストリアとの友好を優先させ、再保障条約を更新せずに打ち切ります。

 

ロシアがフリーになったことで、孤立していたフランスはロシアに接近して露仏同盟を成立させ、ようやく仲間を得ました。

 

一方のドイツは1899年にオスマン帝国からバグダード鉄道の敷設権を得ると、これを背骨とする3B政策を掲げました。これにはオーストリアのバルカン半島進出を後押しする意味もある(図表2)んですが、ということは当然ロシアの南下政策と衝突。

 

また、バグダードからペルシア湾を通ってインド洋に出ればインドが目と鼻の先。イギリスが黙ってるはずがなく、3C政策で対抗します(図表3でご確認を)。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表2]東方問題 出所:『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表3]列強による世界分割 出所:『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋

イギリスvs.ロシアの対立も激化

このように英独間で緊張が生じたといっても、19世紀における列強対立の主軸はあくまでイギリスVSロシアでした

※ 実はイギリスは、ロシアに対抗するためドイツとの同盟も模索

 

ロシアはシベリア鉄道東清鉄道を敷設しつつ、中国分割で中国東北地方を手中に(図表4)。極東でも英露対立が激化してしまったんです。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表4]中国分割 出所:『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋

 

ロシアは義和団事件でも大軍を送り込もうと準備。ここでイギリスは困った。苦戦が続く南アフリカ戦争に50万近い兵力を割いているため、中国に手が回らない!

 

窮したイギリスは、同じくロシアの南下を警戒していた日本に頼ります。日本は義和団事件で大軍を送ってロシアを牽制し、利害が一致した両国の間で、1902年に日英同盟が結ばれるに至りました。

 

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※本連載は、平尾雅規氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる世界史

大人の教養 面白いほどわかる世界史

平尾 雅規

KADOKAWA

「なぜ、戦争や紛争が絶えないのか?」「なぜ、国によって考え方・風習・生活が違うのか?」 ……答えは高校時代に習った世界史の授業のなかにあったはずなのに、大人になったいま、その答えがすっぽりと抜け落ちていません…

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