マレーシアの輸出動向
マレーシアの8月の輸出額(通関ベース、ドル換算)の伸び率は前年同月比21.2%減(前月:同15.8%減)の249億ドルと低迷、6カ月連続の前年割れとなった(図表7)。
輸出の基調は昨年半ばまでコロナ禍で停滞した経済活動の再開や電気電子製品、石油ガス製品の需要拡大を追い風に増加してきたが、その後は世界的な需要減退と商品価格の下落により伸び悩み、年明けから減少傾向が続いている。
また輸入額も前年同月比23.7%減(前月:同18.7%減)の212億ドルと減少した。結果として、貿易収支が+37.6億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から0.3億ドル縮小した。
輸出を品目別にみると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同17.4%減(前月:同1.1%増)となり、主力の電気・電子製品(同17.9%減)を中心に2ヵ月ぶりに減少した(図表8)。また鉱物性燃料は同36.1%減(前月:同46.4%減)となり大幅な減少が続いた。
鉱物性燃料の内訳をみると、石油製品(同41.8%減)と天然ガス(同28.3%減)、原油(同24.9%減)が揃って減少した。このほか、コロナ特需が終息したゴム手袋(同27.8%減)や動植物性油脂(同34.0%減)、化学製品(同16.5%減)なども低迷した。
インドネシアの輸出動向
インドネシアの8月の輸出額(通関ベース)は前年同月比21.2%減(前月:同18.1%減)の220億ドルとなり、3ヵ月連続で減少した(図表9)。
輸出は昨年半ばまでコロナ禍からの経済活動の再開や商品市況の高止まりにより好調が続いたが、その後は海外経済の減速やパーム油、石炭などの主要商品価格の下落により増勢が鈍化し、今年3月から減少傾向にある。
また輸入額も前年同月比14.8%減(前月:同8.3%減)の188億ドルとなり、3ヵ月連続で減少した。結果として、貿易収支が+31.2億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から18.3億ドル拡大した。
輸出を品目別にみると、全体の9割を占める非石油ガス輸出が同21.2%減(前月:同18.8%減)、石油ガス輸出が同20.7%減(前月:同4.7%減)となり、それぞれ低迷した(図表10)。
非石油ガス輸出では鉱物性燃料(同43.9%減)のほか、動植物性油脂(同34.5%減)、銅および同製品(同25.4%減)、ニッケルおよび同製品(同18.4%減)、錫および同製品(同35.3%減)、錫および同製品(同35.3%減)、鉄・鉄鋼製品(同14.2%減)、人工繊維(同5.6%減)、船舶(同83.8%減)など減少した品目が多かった。一方、スラグ・灰(同39.8%増)とアパレル(同19.0%増)については増加した。
シンガポールの輸出動向
シンガポールの8月の輸出額(石油と再輸出除く、通関ベース、ドル換算)は前年同月比18.2%減(前月:同16.6%減)の103億ドルとなり、12カ月連続の前年割れとなった(図表11)。
輸出の基調は昨年半ばまで世界的な電子製品の需要拡大や石油製品の価格上昇により増加傾向が続いたが、その後は電子製品、非電子製品が振るわず減少している。
総輸出額は同12.6%減(前月:同14.6%減)の400億ドル、総輸入額が同13.5%減(前月:同19.9%減)の365億ドルとなり、それぞれ低迷した。結果として、貿易収支は+34.9億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から7.3億ドル縮小した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別にみると、まず全体の約2割を占める電子製品は同16.8%減(前月:同23.6%減)と低迷した(図表12)。
電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同26.7%減)をはじめとしてPC(同23.7%減)やディスクメディア(同28.9%減)が低迷した。また全体の約3割を占める化学品も同18.8%減(前月:同10.2%減)となり4カ月連続で減少した。
化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同4.8%減)の減少幅が縮小した一方、医薬品(同36.1%減)が2ヵ月ぶりに減少した。
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