振るわない経済状況が続いていた中国が迎えた「国慶節」
中国では、2023年に入りゼロコロナ政策が終了したが、経済は振るわない状況が続いている。個人消費も例外ではなく、雇用・所得に対する先行き不安などから、家計が倹約志向にあり、コロナ前に比べて消費性向が低下している状況だ。
例えば、小売売上高のデータをみると、コロナショック後の増加の勢いはコロナ前に比べて鈍っていることが分かる(図表1)。
そうしたなか、9/29~10/6にかけて、春節とならぶ長期休暇である国慶節を迎えた。主な観光地の様子を写した各種メディアの写真からは、どこも黒山の人だかりであり、コロナ前の活況をすっかり取り戻したようにみえるが、その度合いをデータでみるとどうだろうか。
国慶節期間終了後に中国の文化・観光部が公表したデータによれば、同期間中の観光客数および観光消費額は、それぞれ8.3億人回、7,500億元にのぼり、これまでの休暇期間に比べて、庶民の財布の紐は少し緩んだようだ。
図表2は、同じく文化・観光部による主な休暇期間中の観光関連データ(観光客数(人回)、観光消費額、消費単価)について、コロナショックが発生した2020年以降、コロナ前の2019年対比でどの程度の水準まで回復したかをみたものだ。
これまでの推移を振り返ると、観光消費額の回復水準が観光客数に対して総じて低かったため、観光消費額の単価(観光消費額÷観光客数)は、80%を下回る水準となることが多かった。サービス消費は、ゼロコロナ政策終了の反動が表れやすく、実際足元の伸び率は財消費に比べて高めだが、この観光消費のデータからは、サービス消費も財消費と同様、コロナ前に比べて抑制気味であったことがうかがえる。
これに対して、先般の国慶節では、単価が97.5%まで回復している。総量でみても、2023年5月の労働節以降、観光客数は2019年対比で100%を上回る水準、観光消費額も同じく100%前後の水準まで回復しており、ようやくコロナ前の状況に戻ってきたことがうかがえる。
観光消費が勢いを取り戻しつつあることは、景気の停滞が続く現在の中国経済にとっては好材料といえよう。
ただ、低迷が続く不動産市場や、現在の政府の景気対策の効果など、先行きの不確実性は依然高い。今後、観光消費と同様、消費全般が勢いを取り戻して内需回復のペースが上向き始めるのか、それとも倹約ムードが根強く残るのか、今しばらく観察を続ける必要がありそうだ。
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