1894年の日清戦争、1904年の日露戦争、1914年の第一次世界大戦……19世紀末~20世紀初頭に立て続けに起こったこの3つの戦争ですが、学生時代の授業ではなんとなく駆け足で、概要しかつかめていないという人も多いのではないでしょうか。今回は『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)の著者である河合塾講師の平尾雅規氏が、中国の動きに焦点をあてて解説します。
“扶清滅洋”をスローガンに大暴れした「義和団」
19世紀半ば以降、列強による中国での自由な商業・布教活動が認められていくと、色々な摩擦が生じました。ヨーロッパの工業製品が中国の国産品を駆逐して、国内産業は打撃をうけました※。
※ 鉄道敷設によって、輸送業者も失業
民衆の怒りは、布教に訪れていたキリスト教宣教師に向けられ(仇教運動)、この流れで勢力を伸ばしたのが義和団です。肉体を鍛える格闘技団体と、呪術的な宗教が融合した結社で、彼らが蜂起してまずはドイツと衝突しました。
これがけっこう強かった。反乱は北京にまで広がり、外交官を殺害したり公使館を包囲したり大暴れ。彼らは「扶清滅洋※」というスローガンを掲げていました。
※ 清を扶(たす)けて、洋を滅ぼす
これを聞いた西太后は「この機に乗じて義和団と力を合わせ、外国を中国から追い出しましょう」と考えて宣戦布告! 反乱から始まったこの騒ぎは「清VS諸外国」という戦争※になってしまいました。
※ 「義和団戦争」とも呼ぶ
列強はこれに激怒し、8カ国連合軍※が清軍と義和団をねじ伏せて、北京を占領。北京議定書では外国軍が北京に駐屯することとなり、清の半植民地化が決定的になりました。
※ 日本とロシアが大兵力を派遣
朝鮮は独立するも…「大韓帝国」の名にほど遠い実態
舞台を朝鮮に移しましょう。清が日清戦争で朝鮮に対する宗主権を放棄すると、今度は日露が韓国をめぐって火花バチバチです。1897年、朝鮮は独立国となったことをアピールして国名を「大韓帝国※」と改めますが、日露両国に翻弄される状況は独立とはほど遠いものでした。
※ 略して韓国
【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション
河合塾
世界史科講師
愛知県岡崎市出身。首都圏の複数校舎で、国公立クラス、私立クラス、アクティブラーニングを行う低学年クラスといった多様な対面講座に出講する一方、「河合塾マナビス」でもメインとなる通史の映像講座を担当している。教材・模試作成では、早慶大対策のチーフも務める。
「世界史の習得度合いは、印象と反復のかけ算で決まる」がモットーで、史実の内容や因果関係を掘り下げて骨太に説明するかと思いきや、写真・図版やエピソードだけでなく数百におよぶインパクト重視のゴロ合わせを紹介するなど、硬軟織り交ぜて受講生の印象に残るような授業を展開する。
『大学入学共通テスト 世界史Bの点数が面白いほどとれる本』『大学入試 世界史B論述問題が面白いほど解ける本』『音声DL付 ゴロ合わせ世界史 まるごと年代暗記200』(以上KADOKAWA)、『HISTORIA[ヒストリア] 世界史精選問題集』(学研プラス)、『瞬間記憶! つなげて覚える世界史B用語』(かんき出版)など著書多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載大人気塾講師が解説!Webでサクッと学ぶ「大人の世界史」