“生計を一にする”=「同居」ではない!扶養控除の適用要件
――でもたしか、扶養控除って収入の壁がありますよね。最近は、定年退職後もシルバー人材として働いたり、習い事の教室を開いたり、年金以外に収入があるお年寄りも多いですが、どのくらいまでだったら扶養に入れるんでしょうか?
黒「では、収入も含めた、扶養控除の適用要件を一緒に見ていきましょう。
<扶養控除の適用要件>
(1)6親等内の血族および3親等内の姻族であること
(2)納税者と生計を一(いつ)にしている
(3)扶養する親族の年齢が16歳以上 ※ただし住民税については、16歳未満でも控除される
(4)被扶養者の給与収入が年間103万円以下
(5)被扶養者の年金収入が、65歳以下なら年金収入が年間108万円以下、65歳以上なら年金収入が年間158万円以下
なお、遺族年金は所得税法上非課税とされているので、扶養控除は遺族年金の分を除いて判定します」
――ちなみにどのくらいの金額、控除が受けられるんでしょうか?
黒「扶養に入る側、そして被扶養者の年齢によって控除額が違います。下記の図表が、年齢別の控除額をまとめたものです。
被扶養者が70歳以上の場合、同居していれば控除額58万円、別居していれば控除額48万円となっています」
――扶養控除の適用条件に、「生計を一にする」というものがありましたが、これはどういう意味でしょうか?
黒「はい。聞きなれない言葉かもしれませんが、『生計を一にする』とは、日常生活費の出どころを共通にしている間柄のことをいいます。つまり、“ひとつの財布で暮らしている”とイメージしてください。
そしてこれは、必ずしも同居であることを要件としていません。たとえ別居であっても常に生活費や療養費等の仕送りを行っているのであれば、“生計を一にするもの”とされています」
――へえ! 別居であっても、生計を一にするとみなされるんですね。
黒「そうですね。扶養されている側の生活を自分が支えているといえるのであれば、生計を一にしていることになります。この場合、親が69歳以下なら38万円、70歳以上なら48万円を子(ご自身)の所得から差し引くことができ、税金の負担が少なくなります」
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
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