※画像はイメージです/PIXTA

通常、遺産の分配は家族の話し合いによって決められますが、ときには取り分をめぐってトラブルになる場合もあります。しかし、遺産分割については、誰にどれくらい分配できるかという目安があらかじめ決まっています。このルールを知っておけば、ある程度遺産争いを避けることができます。本記事では、遺産相続で誰にいくら分配できるかについて解説していきます。

どうやって分配するかを決める

遺産を誰にいくら分配するかが決まれば、どうやって分配するかを決めます。たとえば遺産を2人の相続人で均等に分配する場合、現金や預金は半分にすることができても、実家の土地や建物を半分にすることはできません。このようなときは、遺産をどうやって分配するかを考えなければなりません。遺産の分配方法には次の3つがあります。

 

・現物分割

・換価分割

・代償分割

 

遺産相続ではこれらのいずれか、あるいはいくつかの方法を組み合わせて遺産を分配します。

 

遺産をそのまま分割する(現物分割)

兄弟で不動産と現金を分ける場合⇒兄は不動産、弟は現金
[図表6]現物分割の例 兄弟で不動産と現金を分ける場合⇒兄は不動産、弟は現金

 

現物分割は、遺産をそのままの状態で分割する方法です。現金は現金のままで、不動産は不動産のままで分配します。不動産を換金するなどの手続きが必要ないため、各相続人が納得すれば比較的簡単に遺産を分配することができます。ただし、それぞれの遺産の価値にばらつきがあればうまく分配できない場合もあります。

 

遺産を換金して分割する(換価分割)

兄弟で不動産を分ける場合⇒不動産を売却した金額を兄弟で分ける
[図表7]換価分割の例 兄弟で不動産を分ける場合⇒不動産を売却した金額を兄弟で分ける

 

換価分割は、不動産や株式など現物資産を換金してから分割する方法です。そのままでは分割できない現物資産も、換金することで公平に分配することができます。ただし、遺産の売却益に所得税がかかる場合があります。

 

遺産を分割するかわりに現金を支払う(代償分割)

兄弟で自宅不動産を分ける場合、自宅不動産を兄が相続し、代わりに金銭を弟に支払う
[図表8]代償分割の例 兄弟で自宅不動産を分ける場合、自宅不動産を兄が相続し、代わりに金銭を弟に支払う

 

代償分割は、現物資産を相続した相続人が他の相続人に現金を支払って分配する方法です。現物資産をそのままの形で残しながら、遺産を公平に分配することができます。ただし、現物資産を相続した人は、他の相続人に支払う現金をあらかじめ準備しておかなければなりません。

 

遺産を共有する

上記の3つの分割方法のほか、遺産を共有するという方法もあります。たとえば、実家の土地と建物を2人の相続人で均等に分配する場合は、2人で共有してそれぞれ半分ずつ所有することができます。ただし、将来売却するときや次の世代に相続するときに手続きや話し合いが面倒になるため、遺産の共有はおすすめしません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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