※画像はイメージです/PIXTA

通常、遺産の分配は家族の話し合いによって決められますが、ときには取り分をめぐってトラブルになる場合もあります。しかし、遺産分割については、誰にどれくらい分配できるかという目安があらかじめ決まっています。このルールを知っておけば、ある程度遺産争いを避けることができます。本記事では、遺産相続で誰にいくら分配できるかについて解説していきます。

いくら分配するかは法定相続分を基本に決める

遺産を分配する相続人が確認できれば、それぞれの相続人にいくら分配するかを決めます。遺産相続で遺産の分配を決めるときは民法で定められた法定相続分が基本となりますが、必ずそのとおりに分配しなければならないものではありません。相続人どうしで合意ができれば、特定の人に多くの遺産を分配することもできます。

 

法定相続分は故人と法定相続人の続柄で決まる

法定相続分は、複数の相続人で遺産相続をするときの原則的な分配割合として定められています。一般にみられるケースの法定相続分は次のとおりです。

 

・配偶者と子供が法定相続人のとき

配偶者 1/2

子供 1/2(複数いるときは1/2を人数に応じて均等に分配)

 

・配偶者と父母(直系尊属)が法定相続人のとき(子供がいない場合)

配偶者 2/3

父母(直系尊属) 1/3(複数いるときは1/3を人数に応じて均等に分配)

 

配偶者と兄弟姉妹が法定相続人のとき(子供・直系尊属がいない場合)

配偶者 3/4

兄弟姉妹 1/4(複数いるときは1/4を人数に応じて均等に分配)

 

・配偶者だけ、子供だけ、父母だけ、兄弟姉妹だけが法定相続人のとき

相続人の人数に応じて均等に分配

 

[図表3]法定相続分の分配割合図(円グラフ)

 

多額の生前贈与を受けていた相続人がいる場合

故人から多額の生前贈与を受けていた相続人がいる場合は、その贈与を特別受益として遺産に加えてから相続人どうしで分配します。生前贈与を受けた相続人とそうでない相続人で遺産を均等に分配するとかえって不公平になってしまうからです。

 

贈与は扶養の範囲内であれば特別受益になりませんが、自宅の購入費用や留学費用の援助などは特別受益になります。

 

特別受益がある場合の遺産の分配方法は図表4で表しています。多額の生前贈与は遺産の前渡しであるとみなして、相続人どうしで公平に遺産を分配できるように調整します。

 

[図表4]特別受益がある場合の遺産の分配方法

 

故人を介護していた相続人がいる場合

故人に多大な貢献をした相続人には、寄与分として相続分の上乗せが認められます。故人への貢献があった相続人と他の相続人で遺産を均等に分配するとかえって不公平になってしまうからです。たとえば、故人を介護していた場合や、故人が営んでいた事業を手伝っていた場合は相続分上乗せの対象になります。

 

寄与分がある場合の遺産の分配方法は図表5で表しています。寄与分にあたる金額を故人への貢献があった相続人に割り当てて、寄与分を除いた遺産を相続人全員で分配します。

 

[図表5]寄与分がある場合の遺産の分配方法

 

寄与分は法定相続人にのみ認められ、長男の妻など法定相続人でない親族には認められていません。ただし、法定相続人でない親族が故人を介護していた場合は、他の相続人に対して金銭を請求できるようになりました。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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