3.金融政策
<現状>
●FRBは、9月のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2会合ぶりに据え置きました。参加者の政策金利見通し(ドットチャート)では、24年末のFF金利は5.125%と、0.25%の利下げ2回を織り込む水準にとどまり、前回予想(4.625%)から切り上がりました。
●ECBは9月の理事会で、10会合連続となる利上げを決めました。利上げ幅は4会合連続0.25%となり、銀行が中央銀行に預ける際の預金ファシリティ金利を4.00%に引き上げました。声明文では、ターミナルレート(利上げの到達点)に達した可能性を示唆しました。
●日銀は、9月の金融政策決定会合で、長期金利の上限を事実上1.0%とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や、マイナス金利政策など現状の金融緩和政策を維持しました。
<見通し>
●FRBは、米国景気が想定以上に堅調に推移していることから、11月のFOMCでFF金利を0.25%引き上げると予想しています。FF金利を5.50~5.75%の水準まで引き上げた後、24年中は据え置くとみています。
●ECBは、高止まりしている食品価格やコアインフレを抑制するため、現状の政策金利(預金ファシリティ金利4.00%)を24年後半まで据え置くと予想しています。
●日銀が7月にYCCの修正を行ったことで、市場機能は改善するとみられるため、追加の政策修正は当面行われないと想定しています。インフレ目標達成にはまだ距離があることから、日銀は現状の金融緩和策の枠組みを維持すると予想しています。
4.債券
<現状>
●米国の10年国債利回り(長期金利)は、9月のFOMCで参加者の政策金利見通し(ドットチャート)がタカ派的だったため、FRBが高水準の政策金利をより長く維持するとの観測が強まったことから、大幅に上昇しました。米長期金利は一時4.6%台と、2007年以来約16年ぶりの高水準を付けました。
●ドイツの長期金利は、ECBによる金融引き締め局面が長引くとの観測から大きく上昇しました。約12年ぶりの高水準を付けました。
●日本の長期金利は、日銀による政策修正観測がくすぶるなか、米長期金利に連動して上昇し、10年ぶりの高水準を付けました。
●米国の投資適格社債については、株式市場の下落を受けて国債と社債の利回り格差が拡大しました。
<見通し>
●米国の長期金利は、当面高止まりするものの、先行きは緩やかに低下する展開を予想します。堅調な雇用による景気の底堅さからFRBの金融引き締めは当面続くとみられます。ただし、利上げは最終段階にあると考えられ、先行きは景気減速とインフレの低下が見込まれるためです。
●欧州の長期金利も、ECBの利上げサイクルが最終段階に差し掛かっているとみられ、米長期金利に連れて緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、日銀のYCC修正により、追加の政策修正は当面行われないとみられることから、レンジ内でもみ合う展開を予想しています。