イギリスが望んでいた「自由で対等な貿易」
注意したいのは、アヘン問題はあくまでも戦争の口実であり、イギリス側の目的は「自由で対等な貿易を清に認めさせること」にある点です。
蒸気船の軍艦を派遣したイギリスが帆船※1主体の清軍に勝利し、南京条約が結ばれました。5港を開かせて公行も廃止させ、賠償金もせしめます。追加で認めさせた領事裁判権※2と関税自主権の喪失も重要。
※1 ジャンク船
※2 イギリス人が清で犯罪を犯した場合、イギリスの法で裁く
前者によって、イギリス人はいわば「中国の警察に逮捕されない特権」を得ます。後者は保護貿易をさせないための措置ですね。ペリー来航以降の日本も押し付けられた、不平等条約の代表格です。
アヘン戦争勝利も、綿布の輸出伸びず「アロー戦争」へ
しかしアヘン戦争後も、イギリスの期待ほどには綿布の輸出は伸びませんでした。開港場の増加を望んだイギリスが、戦争の口実を探していた折に起こったのがアロー号事件。「香港船籍※1のアロー号に中国の官憲が臨検に入り、しかもイギリス国旗を侮辱した!※2」がイギリス側の言い分。
※1 南京条約でイギリス領になっている
※2 実際には船籍の登録期限が切れていた
先に戦争ありき、という下心がミエミエなんですが、イギリスが宣戦してアロー戦争が始まりました。なお、ナポレオン3世も共同出兵しています。
英仏連合軍は勝利し、最終的に北京条約が結ばれました。開港場が増え、外国公使の北京駐在が認められます。これに対応して、清は総理各国事務衙門[がもん](総理衙門※)を設置しました。
※ 外務省に相当する
主権国家体制といえば「互いに対等」につきあう※わけで、こうしてイギリスが望む「自由で対等な貿易」が実現しました。
※ すでに南京条約で「対等国交の原則」は認めさせている
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