(※画像はイメージです/PIXTA)

ふるさと納税の制度が10月から改定される。自治体の側での「経費」の範囲や、返礼品として認められる「地場産品」の基準を変更するものであり、利用者にとって「改悪」だとの指摘もある。新ルールは何を目的とするものなのか。ふるさと納税のしくみ、新ルールの内容、そこから見えてくるふるさと納税の課題について、税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)に聞いた。

ふるさと納税の「経費率」を抑えなければならない2つの理由

ここまでみてきたように、10月からの新ルールの中身は、「経費率」を抑えることと、返礼品の「地場産品」の範囲をより明確にすることです。「改悪」との意見もありますが、いずれも、ふるさと納税の制度を本来の制度趣旨に沿ったものにするためのものといえます。

 

このうち、より深刻なのは「経費率」の問題です。

 

まず、ふるさと納税の経費率が高いと「増税」または「財政赤字の拡大」につながるおそれがあります。経費率が50%だとすれば、単純計算して、その分の額が、全国の自治体トータルでみて財源から流出していることになります。

 

経費率の高さにはもう1つの問題があります。それは、前述のような「隠れ経費」があると、その分だけ豪華な返礼品を用意できることになります。そうなれば、返礼品競争が激化し、自治体間の競争力の格差がさらに拡大するおそれがあります。

 

たとえば、東京23区など、ふるさと納税によって、税収が他の自治体に流出している自治体があります。その程度によっては、住民の日常生活に密着した行政サービス、たとえば「ごみの収集・処理」、「上下水道」、「道路整備」「公共施設の設置・維持管理」等に支障をきたす可能性があります。

 

地方交付税の「交付団体」であれば、不足分を「地方交付税交付金」により補てんしてもらうことが考えられます。しかし、その出所は税金なので、増税、あるいは赤字国債の発行につながる可能性があります。また、東京23区のような「不交付団体」の場合は、「増税」をせざるをえなくなる可能性があります。

 

もちろん、ふるさと納税の制度は、単純な足し算・引き算では割り切れない効果をもたらす可能性があります。返礼品競争も、自治体の知名度の向上や、地域の経済発展につながる可能性があります。しかし、上述した問題点があることは、留意しておかなければなりません。

 

ふるさと納税のもともとの制度趣旨は、自治体ごとの税収の不均衡を是正し、地方の活性化につなげることです。10月から新しいルールがその趣旨に沿って適正に運用されるのか、見守っていく必要があります。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ 共同代表

公認会計士

税理士

 

 

 

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