(※画像はイメージです/PIXTA)

ふるさと納税の制度が10月から改定される。自治体の側での「経費」の範囲や、返礼品として認められる「地場産品」の基準を変更するものであり、利用者にとって「改悪」だとの指摘もある。新ルールは何を目的とするものなのか。ふるさと納税のしくみ、新ルールの内容、そこから見えてくるふるさと納税の課題について、税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)に聞いた。

◆新ルール2|返礼品の条件の厳格化(熟成肉、精米)

2つめのルールは、返礼品の条件を厳しくしたことです。これは、加工品のうち「熟成肉」と「精米」の2品目をターゲットとしたものです。

 

返礼品の条件については「地場産品基準」という定めがおかれています。これは、ごく大ざっぱにいえば、地元の名物であることを求めるものです。そのうち、今回のルールで改定されるのは、加工品に関する以下の基準です。

 

「当該地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものであること」

 

噛み砕いていうと、加工品の原料を他の場所から調達する場合は、その加工品が「その自治体ならではのもの」でなければならないということです。

 

たとえば、岩手県遠野市の返礼品に「ジンギスカンのラム肉とタレのセット」があります。ラム肉はオーストラリア産やニュージーランド産ですが、上記の基準にてらし、「地場産品」として認められています。なぜなら、遠野市はジンギスカン鍋が一家に1台あるといわれ、ジンギスカンがご当地の名物として定着しているからです。そして、精肉等の主要な加工のプロセスを遠野市内で行っているので、遠野市の「地場産品」として扱ってよいということです(これは新ルールの下でも変わりません)。

 

上記基準に関し、10月からは「熟成肉」と「精米」の2品目については、原料が同じ都道府県内で生産されたものに限られるということが明記されました。

 

まず、「熟成肉」は、ホルスタイン等の比較的安価な牛肉を熟成させることにより付加価値をつけるものです。しかし、加工地の自治体の名前よりも、むしろ加工業者の熟成技術が重要と考えられたものとみられます。

 

次に「精米」は、精米された自治体よりもコメの品種や原産地が重視される傾向が強いものです(「新潟県魚沼産コシヒカリ」等)。

 

ただし、これらのうち「熟成肉」については「これから自治体を挙げて町おこしのための名物にしていこう」というケースもありうるので、一概にNGとしてしまうのは「やりすぎ」ではないかとも考えられます。

 

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