3.作業場のホワイトボードに、誤配達の累計件数を表示します。個々の成績を表示しなかったのは、開示する情報が“誤配達”なだけに、配慮したためです。今にして思うと、“誤配達”というネガティブな情報ではなく、「誤配達ゼロの連続日数」といった前向きなものにすれば良かったと思っています。
誤配達をした部下への指導は、上司ではなく仲間が行います。2~5人くらいの小グループをつくると教え合いは活性化します。この時の「良い先生」とは、人間的な相性がよく、教わる人よりも一歩先を行っていて、できない人の気持が分かる人です。適任者は、大抵、上司ではありません。
4.社内報には、頑張って実践している部下の活躍を載せました。直属の上司にインタビューをし、部下の実践を聞き出し、感謝の気持ちを添えて社内報に載せるのです。
実践事例は、他の部下の学びになるだけではなく、ヤル気も刺激します。当事者の配達員は、直属の上司が、自分の良い部分を見てくれたことが嬉しく、両者の関係が良くなるという効果もあります。
5.1年に2~3回、全員が集まり、これまでの実践を振り返ります。成果が出た事例を分析し、成功要因を抽出し、個々が明日からの実践アイデアを出します。
こうした実践の結果、ひと月あたりの誤配達は5件ほどに減りました。仲間同士の関係が強化されたことで、離職が減るという副次的な効果もありました。
私も現場上司も、1人1人とは深く関わってはいません。常に集団に課題を与え、自分たちで解決することを促したのです。
正解のない時代に、知恵にあふれる経営をしたい。スピーディーな意思決定ができるチームにしたい。リーダーとして、自分がやるべき仕事に集中したい……。
こうした望みが、集団の力を借りるチームマネジメントで可能になるのです。
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