“いい上司”とは何か
“いい上司”と言うと、どんな人をイメージするでしょうか?
リーダーシップがある。人の”良い部分”を活かす。的確な問題提起をする。ヤル気を引き出すなど、様々な要件を思い浮かべると思います。
特に「部下1人1人と丁寧に関わる上司」は、昔から、“いい上司”の象徴として、高く評価されてきました。
しかし、それに限界を感じているリーダー、マネージャーが多いのではないでしょうか。何故なら、この方法では組織のスピードと創造性が鈍ったり、場合によってはメンバー間の人間関係に歪みが生じたりと、逆効果を生むケースがあるのです。
では何故、このような事が起きるのでしょうか? 部下とどのような向き合い方をすれば良いのでしょうか?
個々の部下と深く関わることで起こる、これだけの弊害
多くの企業では、プレイングマネージャーが主流ですので、部下と十分な対話をする時間を作ることが困難です。仮に部下が5人いて、対話の総時間が1時間あったとすると、1人あたり12分しか取れません。
実際には、問題や悩みを抱えている部下に多くの時間が割かれますので、部下の多くは、十分に関わってもらえていないのです。対話ができないと、意思決定が遅れ、仕事の進捗が遅れます。変化の激しい時代には致命的なロスになります。
上司と部下の1対1の関係性が強化されると、部下同士の横のつながりが希薄になります。互いに無関心になると、協力体制ができず、業務効率が悪化します。知恵を出し合う創発も起こらず、豊かなアイデアが出ません。正解がない時代においては、非常に大きな損失です。
チームの人間関係に影を落とす危険性もあります。個々の部下と深く関わると、自ずと人間関係に関する相談が増えます。この手の相談は大抵、密室で行われます。密室で話し合う様子を見た他の部下は「何の話をしているんだろう?」と不安になり、やがてチーム内に疑心暗鬼が広がることがあるのです。
23年間、新聞販売店を経営してきた中で、私はこの様な弊害を数多く経験し、自分のマネジメント能力の無さに、すっかり自信を失いました。そんな時、私と同じような悩みを持ちながら、その悩みを想像を超える方法で解決している方に出会い、道が拓けたのです。