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将来相続が起きたときに家族が払う相続税は、生前対策をしておけば減らせる場合があります。遺産の中で相続税の支払いに充てる財産が減れば、その分だけ家族の手元に残る財産が増えるので、将来の相続に備えた生前対策は重要です。本稿では、税理士法人ブライト相続の天満亮氏監修のもと、生前対策の具体的な方法や実際に生前対策をするときの注意点について解説します。

3.教育資金の贈与の特例制度を使う

子や孫が教育資金としてお金を必要としている場合、教育資金の贈与の非課税制度を使って贈与すれば、学校等に支払う金銭は1,500万円まで、それ以外の金銭は500万円まで贈与税がかかりません。

 

制度を使えるのは、直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の直系卑属(子や孫など)へ資金を贈与する場合です。次のような費用に充てるための資金贈与が特例の対象になります。

 

・学校に払う入学金や授業料、保育園に払う入園料や保育料

 

・学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校における教育に伴って必要な費用

 

・学習塾や水泳教室に子を通わせるときにかかる費用

 

4.結婚・子育て資金の贈与の特例制度を使う

子や孫が結婚資金や子育て資金としてお金を必要としていたら、結婚・子育て資金の贈与の非課税制度を使って贈与すれば、結婚に関する金銭は300万円まで、子育てに関する金銭は1,000万円まで贈与税がかかりません。

 

制度を使えるのは、直系尊属(父母や祖父母など)から50歳未満の直系卑属(子や孫など)へ資金を贈与する場合です。次のような費用に充てるための資金贈与が特例の対象になります。

 

・挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用

 

・家賃、敷金等の新居費用、転居費用

 

・不妊治療・妊婦健診に要する費用や分べん費、産後ケアに要する費用

 

・子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料

 

5.不動産の贈与で配偶者控除を活用する

居住用の不動産または、居住用の不動産を取得するための資金を配偶者に贈与する際、配偶者控除を適用できれば2,000万円の贈与まで贈与税がかかりません。制度を使うためには、主に以下の条件を満たす必要があります。

 

・婚姻期間が20年以上の夫婦間で行われた贈与である

 

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与で取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に受贈者が住んでおり、その後も住む見込みである

 

6.孫に財産を渡して相続税の課税回数を減らす

相続によって親から子、子から孫へと財産が受け継がれる中で、親から孫に財産が渡るまでに相続税が課税される機会が2回あります。しかし、生前贈与によって親世代から孫世代に財産を移転しておけば相続税はかかりません。相続税の課税回数を2回減らせます。

 

親が子に生前贈与する場合も相続税の課税回数を減らせますが、子への贈与の場合には課税回数が1回減るだけです。子ではなく孫に財産を贈与するほうが長期的に見ると節税になる場合があり、孫への贈与が生前対策として有効な場合があります。

7.不動産を購入して相続税評価額を下げる

一般的に不動産は時価よりも相続税評価額が低いことが多いので、現金や預金で相続せず不動産で相続するように資産を組み替えておけば、相続税の節税になる場合があります。

 

例えば3,000万円の土地を購入した場合、その土地の相続税評価額が2,000万円であれば相続税の計算で使う土地の価格は2,000万円です。現金や預金で3,000万円を相続すれば3,000万円に対して相続税がかかりますが、この資金で3,000万円の土地を購入しておくと、相続税の計算で含まれる金額を2,000万円に下げることができます。

次ページ8.生命保険に加入して非課税額を増やす

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