将来かかる相続税を減らせる? 生前対策が重要な理由
相続税の仕組みをうまく活用して生前対策を行えば、将来相続が起きたときにかかる相続税を減らすことができます。相続税対策として生前対策をする場合、押さえておきたいポイントは主に2つです。
1.生前に財産を贈与すれば相続税の課税対象が減って節税になる
相続人である家族が遺産を相続する場合でも、遺産額が相続税の基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。遺産額が基礎控除額を超えそうであれば、生前対策によって遺産額を減らして基礎控除額以下にしておくことで相続税はかからずに済みます。
相続税の基礎控除額とは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算した金額です。
また、遺産額が基礎控除額を超える場合でも、生前に財産を贈与しておけば相続税の課税対象が減って節税になります。生前に贈与すると贈与税の課税対象になりますが、贈与税の非課税枠や特例制度を活用しながら贈与すれば贈与税を抑えられるので、贈与税も相続税の負担を軽減して財産を渡すことができます。
2.生前に財産を組み替えておけば相続税が安くなる場合がある
相続税を計算する際、相続する財産の種類によって計算方法が異なる場合があります。そのため、生前に財産を組み替えて相続税の特例制度の対象になる財産にした上で相続するようにすれば、相続税が安くなるのです。
詳しい内容は後述しますが、現金ではなく死亡保険金や墓地・墓石、土地で相続するような生前対策も方法の1つとして挙げられます。
相続税を減らすための10つの生前対策
続いて、相続税対策をするときの具体的な方法を紹介します。生前対策を検討している方は、実際にご自身でできる方法がないか確認してみてください。
1.毎年110万円以内で贈与する
1年間の贈与額が110万円以内であれば、贈与税はかかりません。毎年110万円以内の財産を贈与すれば、贈与税をかけずに遺産を減らせて相続税の課税対象を減らすことができます。
贈与を受ける人、1人につき110万円まで非課税になるので、例えば子3人に現金を贈与するなら年間330万円の贈与まで贈与税はかかりません。10年間続ければ3,300万円、20年間続ければ6,600万円も相続税の課税対象を減らせます。
2.住宅資金の贈与の特例制度を使う
子や孫が住居の新築や購入でお金を必要としている場合、住宅取得等資金の贈与の非課税制度を使って贈与すれば、一定額まで贈与税がかかりません。
省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円まで贈与税が非課税になります。制度を使える人の主な条件は以下のとおりです。
・直系尊属(父母や祖父母など)から直系卑属(子や孫など)への贈与である
・受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて、住宅用家屋を新築等にする