(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが巣立ったため、広くなった家を手放して狭い家に引っ越すことを考えた60代の夫婦。「今どき親と一緒に住みたいなんて子供はいない」と思い込み新しいマンションに移り住むつもりでしたが、長男から思わぬ意見が返ってきて…。税理士である山中朋文氏(税理士法人bestax代表)が、思いもかけず二世帯住宅にすることとなった実際の相続事例について紹介します。

子供が巣立ち、二人で住むには広すぎる家に…

結婚をし、子供が生まれ、そして子供が巣立っていく。

 

子供が巣立った後、広くなった家を見て、家を手放して以前よりも狭い家に引っ越そうと思う方は、たくさんいるかもしれません。しかし、子どもは親と二世帯で住みたいなんて思ってないよね」ということが思い込みであるということもあります。そんなご家族のお話です。

 

私、税理士である山中の元に相談に来た幹雄さん(仮名・60代)も、そんな一人でした。

 

幹雄さんと私の最初の出会いは、まだ新しい年が始まって間もない寒い冬のこと。年明け早々、私の事務所に一本の電話がかかってきました。電話の相手は懇意にさせてもらっている保険会社の営業の方でした。

 

「私のお客様に、お子さん二人が家を出て夫婦二人きりで住んでいる方がいるのですが、二人で住むには広すぎるということで、今よりも狭い家に引越しを検討していらっしゃるそうなんです。

 

ですが、相続の観点も含めて考えると不動産を買い替えるのがベストな選択なのかどうかちょっと疑問に思ったので、事前に山中さんのような税理士に相談した方がいいのでは? と思いまして…もしよろしければ、一度お会いしてお話を聞いていただけないでしょうか?」

 

営業の方からの話を聞き、私は二つ返事で幹雄さんご家族にお会いすることにしました。

「老後のこと」を子供たちに話したことがあるか?

電話をいただいて2週間後。私は幹雄さんの自宅で幹雄さんご本人と奥様、そして当日ちょうど予定の空いていた長男の3人でお話をすることになりました。

 

「この度はお忙しい中、お時間を設けてくださりありがとうございます」

 

家に着くなり、開口一番に幹雄さんの奥様が私に声をかけてくださいました。そんな奥様を見て、幹雄さんは「どうも」と軽く会釈をするだけでした。

 

幹雄さんは、「なぜ、引っ越すことを決めたのに税理士がわざわざ家にやってくるのか」と言わんばかりに、腑に落ちていない様子で居間の椅子に腰かけていました。

 

メンバーが揃い、少し緊張感のある中、改めて幹雄さんの家庭事情をお伺いすることにしました。

 

幹雄さんは元々奥様、長男、次男の4人暮らしをしていました。しかし、長男は4年前に、次男は昨年結婚をし、今住んでいる一軒家の自宅で幹雄さんと奥様の二人暮らしになりました。

 

「この一軒家に夫婦二人で住むなんて、あまりにも広すぎるような気がして。最近できた駅近のマンションに引っ越した方が二人で住むにはいいのかしら、なんて主人と話していたんです」奥様は早口で話をしました。

 

「けれど保険の方に話したら、もう少し選択肢があるんじゃないかっておっしゃって。それで山中さんをご紹介されました」と続けて話をする奥様。

 

幹雄さんは表情を変えずにただ黙っているだけだったのですが、奥様が「ね、そうよね? あなた」と声をかけると、「あ、あぁ」とようやく声を出しました。

 

「なるほど、そういうことでしたか」私がそう答えると、幹雄さんはゆっくりと口を開き、「今の時点で、この家を売って新しいマンションに引っ越すことはほぼ決まっている。だから、税理士さんに話すことなんてあるかな? と思っているのが本音なんだ」とおっしゃいました。

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