「ユニコーン企業」になりたいなら、「タッグを組む」道を模索
日本でもスタートアップは着実に増えており、岸田政権の「新しい資本主義」により、政府の後押しも強化されています。ただ、現在のところはまだ、ユニコーン企業は少なく、VUCA時代を力強く生き残り、これから先の世界を変えてしまうほどの勢いのある新興企業がなかなか見当たらないのが実情です。
それを政治や社会情勢の問題にするのではなく、産業界全体の課題、そして会社や個人の課題として捉えることが大切です。
自社内だけでは難しいことであってもそこで諦めるのではなく、世界に目を向けて有望なスタートアップと組めばできることを模索していくことも視野に入れたいものです。そこに、自社と相手方の知財をミックスさせることを忘れてはなりません。
代替肉ビジネスを展開するインポッシブル・フーズには「サステナブルな食の提供」という壮大なビジョンがあり、環境問題等の世界的な課題を背景としています。
大企業の中には、こうした世界規模の課題に立ち向かうべく、ビジョンを高らかに掲げているスタートアップと、お互いの知財をミックスさせて協調する姿勢を持つことで、見事にV字回復した企業もあります。
スタートアップと「知財ミックス」することで生き延びるGAFA
業績低迷から見事V字回復したマイクロソフト
例えば、マイクロソフトはかつてWindowsによって世界を席巻したIT企業でしたが、PCというデバイスに拘るあまり2000~2010年代はスマホとクラウドの時代に後れを取り、業績は低迷していました。
しかし、CEOがサティア・ナデラ氏に交代してからは創業者のビル・ゲイツ氏のビジョンを大切にしつつも、時代に合わせてビジネス方針の転換を図りました。次々と出資先のスタートアップの潜在力を効果的に引き出して自社の知財ポートフォリオに組み込むことに成功し、資産総額で史上最高額をたたき出したのです。
昨今は読者の皆さんであればご存知の通り、OpenAIというスタートアップの人工知能チャットボットChatGPTの知財が見事にマイクロソフトのビジネスモデルに貢献し、世界を席巻しています。
なんと、ChatGPTが世界に普及することでMicrosoft Azureという独自のクラウドプラットフォームの利用が広がるように、ビジネスモデルが設計されているのです。
そういう力強さがあるかどうかが、日本と世界の違いと言えます。その違いを生むのが、知財ミックスであり、ビジョン経営なのです。
スタートアップを買収し、数兆円規模の投資を行うフェイスブック
フェイスブックも戦略的にスタートアップの知財を活用して事業を展開しています。リアル空間からメタバースへと移行しても、マーク・ザッカーバーグ氏の明確で揺るがない「人と人をつなげる」というビジョンをもとに事業を推進しています。
事業を立てて収益化していくために、VRハードウェア及びソフトウェアを開発するスタートアップのOculusを買収し、今ではエンジニアの半分以上がVRの研究開発を行うなど、数兆円規模の投資を行っていると言われています。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら