世界で続々生まれる“ポストアマゾン”企業
〈語句解説〉
・「知財ミックス」……企業や個人レベルで蓄積してきた技術やアイデアなどの多様な知財を多方面に張り巡らし、時代を先読みして持続可能な価値に変える仕組み。
・「ビジョン経営」……明確な方針に向かって事業を展開すること。
海外には、ビジョン経営とそれを体現する知財ミックスによって世界的な企業へと成長を遂げた会社もさることながら、将来有望なスタートアップが新たに次々と生み出されています。そこに、海外と日本の産業の成長余力の大きな違いがあります。
「明確なビジョン」をもとにトヨタや日産を追い越すテスラ
イーロン・マスク氏が率いる米国のテスラは、電気自動車(EV)の販売において、すでに世界中で知られる存在となりました。自動車の分野では後発のスタートアップでありながら、環境問題を背景にした課題解決に取り組む中で、明確なビジョンをもとに新規事業を推進し、多くの支持を得て成長を実現しています。
テスラが掲げる「人類が化石燃料利用に依存した経済から脱却するために電気自動車を世界中で販売する」といった方針は非常に明確であり、イーロン・マスク氏が発するメッセージには、いつもスタートアップ起業家らしいビジョンがあります。
そして、その実現に必要となる技術、ブランド、デザインなどの知財の創出に余念がなく、これらをミックスしながら愚直にビジネス戦略を実行しています。
情勢の変化による株価の上下はあるものの、日本における既存の自動車会社よりはるかに高い成長率を実現していることを考えれば、その戦略性と実行力が窺えます。
かつてはアメリカの西海岸でトヨタや日産の自動車をよく見かけましたが、今はテスラがマーケットを占めている状況となっています。日本にいるとテスラの勢いは見えづらいですが、日本やドイツの既存の自動車メーカーをしのぎ、世界の自動車業界のマップを塗り替える可能性は十分にありそうです。
世界の有望な新興企業に目を向けてみると、“ポストアマゾン”と称されるほどのポテンシャルを秘めた定額課金型のECプラットフォーム「ショッピファイ」や、ファイナンスの民主化を目指して個人投資家向けの証券売買アプリを提供する「ロビンフッド」、さらには世界の食料状況に着目した代替肉ビジネスを展開する「インポッシブル・フーズ」など、社会にインパクトを与えるようなスタートアップが毎年多数輩出されています。
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