知財を価値に変換させる「知財ミックス」
〈語句解説〉
知財ミックス……企業や個人レベルで蓄積してきた技術やアイデアなどの多様な知財を多方面に張り巡らし、時代を先読みして持続可能な価値に変える仕組み。
そもそも日本人は優れた技術やアイデアを持っている国民であるため、良い商品やサービスが選ばれる時代であれば、その技術力やアイデアに加えて、生来持っている国民性としての勤勉さを活かして世界市場でも有利な戦いをすることができました。
しかし、今は時代が変わっているのです。自社が掲げるビジョンを軸に、表現したい世界観を明確にした上で、技術やアイデアだけでなく、デザインをはじめとする知財を張り巡らしていくことが、現代において競争力のある企業の条件となりつつあります。日本企業も、それを愚直に行っていかなければ、生き残ることができないと言っても過言ではありません。
世界も認める最良のものがあるにもかかわらず、それを価値に変換し、社会や顧客に普及・浸透させることで持続的な収益をもたらす仕組みが構築できていないのは、なんとももったいないことです。
それによってイノベーションが完成せず、世界の企業と肩を並べることができなくなっていったことが、「失われた30年」の正体でした。
個別の企業だけの話ではなく、国全体としても衰退してしまう恐れがあります。なぜならその背景に、自前主義に陥りがちでオープンイノベーションが苦手である、他社に自社の技術やアイデア、ロゴをライセンスで使わせてブランド価値を高める発想がない、「稼ぐ」ということに対してネガティブな印象があるなどは、日本人の生来の国民性に関係しているからです。
しかし、素晴らしい武器をつくれる才能を持ち合わせながら、それを活かさず、戦場に出ていくこともなければ、戦利品を勝ち取ることにも興味がないのでは、「ジリ貧」になるのは目に見えていますし、あまりにもったいないことであると思います。
根本からマインドを変えることが必要ですが、一朝一夕にマインドを変えることはできません。マインドを変えて行動できる人は、一念発起して信念を貫ける、実行力のある人だけにとどまってしまうでしょう。そして哀しいかな、実行力のある人は、すでに海外に出て活躍を始めています。
「知財ミックス」は、「マインドを変えよう」という精神論的な提案ではなく、愚直に実践すればよいだけのテクニック(手法論)について掘り下げていきます。その内容は、国の政策に依存するのでもなく、経済環境が好転するのを祈るのでもなく、企業レベル・個人レベルで自らが実践できる手法論です。
明日からでも実践することができ、それを実践しているうちに結果が出て、自信もついてくるので、気が付いたらマインドも変わっているという好循環が生まれます。
その有効性については、実際に知財ビジネスプロデューサーとして、数々のクライアントとともに成果を上げている私自身が保証します。
この手法が使える前提条件はひとつだけです。それは、「良い知財を持っていること」。
日本の企業の多くは、すでにこの条件はクリアしており、その時点で一歩アドバンテージがあると言えます。しかも、この知財ミックスは大量の資源の産出を要するものではありませんし、人の頭数が必要となる“人海戦術”でもないので、資源大国ではない日本、人口が減少している日本にこそ、うってつけの手法論となります。
もちろん知財リッチなだけで満足してはいけません。むしろここからが大事です。「知財ミックス」は次のような5つの行動が必要不可欠となります。この5つの行動を愚直に続けることが、遠回りなようで何よりの近道となるのです。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら