「お客様に届けたい世界観」を明確にする
アップルは、どのようにして“帝国”を築いてきたのでしょうか。
そもそもアップルは、起業当初からビジョンが明確であり、そこに知財を組み込んで戦略的に事業を推進・拡大していく姿勢がありました。そして、企業ブランドの構築のためにデザイン戦略を重視しつつ、将来を見通した製品・サービスの設計を実行してきました。
具体的には、デバイスやアイコン、インターフェースだけでなく、製品パッケージ、周辺機器、アクセサリー、さらには店舗外観やPCの起動音に至るまで、あらゆる角度からアップルの製品・サービスをデザインしつつ、アップル全体の企業ブランドを支えています。
同社は知財ミックス※によってブランド価値の向上と事業競争力の保護を両立していますが、それは数字上も明らかです。
※知財ミックスとは……企業や個人レベルで蓄積してきた技術やアイデアなどの多様な知財を多方面に張り巡らし、時代を先読みして持続可能な価値に変える仕組み。
例えば、保有している商標権のうち「Design Only」に属する商標は25%を占め、全体と比較して6.5倍、日系企業と比較しても約3倍の高い割合となっています。
またメディアの多くが、意匠や商標登録の情報を調査し、未発表の将来製品の名称や機能、発売時期等について考察及び報道していることもよく知られています。
そのような動きによって、同社のブランド価値向上や事業競争力の保護が実現されています。
アップルは登録商標を盾にサムスンと訴訟を繰り広げてきたことでも知られています。過去には、「特許(Utility Patent)」「デザイン特許(Design Patent)」「トレードドレス(店舗の外観・内装等)(Trade Dress)」「商標権(Trademark)」を含む約30件の知財侵害でサムスンを起訴しており、その結果、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は約10.5億米ドル(1,522億5,000万円※1ドル145円換算)の損害賠償をサムスンに命じています。
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