「特定の声」を聞く
お客様への質問やアンケートの答えを、どのように生かしていくか。ここでは、情報の集計や、分析の仕方、さらに「それをもとにした広告のつくりかた」について述べていきましょう。
まず当然のことですが、アンケートで多かったお客様の声は、間違いなく本音を表している、ということです。典型的なのは本書で紹介している京都の喫茶店の例です。アンケートをとるまで店主は、お客様の目当ては名物のタマゴサンドと思っていたわけです。それが「居心地のいい場所だから」という多数のお客様の声を知ったことで、“安らぐ空間”という新しい売り方ができるようになりました。
ただ、「お客様の声の中の、少数の特定の声に耳を傾ける」というのも、効果的な方法があります。つまり、その「特定の声」が、非常に優良なお客様であるケースです。お客様の声を聞けば、ときには売り手が想像もしていなかった、ビックリする声を聞かされることもあります。
アンケートには一言も書かれていなかったが……
たとえば、ある健康づくりジムでの話です。まずは『自分のペースで気軽に運動ができる!』 『マシンの操作が簡単で安心!』 『地域1の低料金!』といった内容を掲載したチラシをつくりました。けれども、新聞の折り込みに入れた1万4600枚のチラシにも、ポスティングで配った3万枚のチラシにも、思ったほどの反応がなかったのです。
そこでジムに来てくれるお客様に、「入会する前は、どんなことでお悩みでしたか?」とアンケートで聞いてみたのです。すると、「姿勢が悪い、肩こり、筋力低下、体力低下、腰痛、膝痛、運動不足、病気のリハビリ」といった答えが返ってきました。
そこで、その答えを反映してつくったチラシの原稿を今度はジムに来ていたお客様に見せたのです。すると驚く声をいただきました。それは、「失禁が入っていないわね。失禁で悩んでいる人、意外に多いのよ」というものでした。
「失禁ですか? でも、アンケートには一言も書かれていなかったのですが……」
「皆さん、恥ずかしいから書かないのよ」
そういった声でした。
ものは試しで、チラシに「失禁」という文字も入れてみたら、なんとそれまでの5倍も新しい申し込みがあったそうなのです。この事例のように「お客様に聞かなければわからない」ということは、実際の現場にはよくあります。
「継続率80%、月100万円の売上アップ」した弁当製造会社
次は、とある弁当製造会社の話です。この会社は、介護施設や病院などに、お弁当を届ける仕事をしていました。けれどもコロナの影響で、それまでのような飛び込み営業ができなくなりました。
そこで、もっとウェブからの受注を増やそうと、アンケートをとりました。BtoB(企業間)でのアンケートはとるのが難しいと思っていたのですが、いざやってみると少数ですが嬉しい声をいただけました。
そして、これまでのサイトには『介護施設・医療施設に美味しく栄養バランスのとれた健康な食事を提供します』と書いていたのですが、アンケートに書かれていたことをもとに、『献立作成やカロリー計算、食材の購入や調理する手間を考慮し、事務所内での調理か、配食サービスを利用するかどうかをお悩みの方へ』と変えてみたところ、ネットからのお問い合わせが6件あり、そのうち5件を受注。継続率80%、月100万円の売上アップ、年間で1,200万円の売上アップになったのです。
少数のお客様の声からコピーをつくったことが、成功につながりました。
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