「喫煙者も非喫煙者も満足できるのでは?」…〈禁煙にして喫煙ルームを設けた〉飲食店。結果、“両者から支持されなかった”ワケ

「喫煙者も非喫煙者も満足できるのでは?」…〈禁煙にして喫煙ルームを設けた〉飲食店。結果、“両者から支持されなかった”ワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年4月1日より、法改正で飲食店での原則屋内禁煙が定められ、原則屋内での喫煙が禁止となった際、売上減少防止のために「喫煙ルーム」を設ける飲食店が多くありました。しかし、その多くが上手くいかなかったといいます。理由は何だったのでしょうか? 本稿は、販促コンサルタントである岡本達彦氏の著書『お客様目線のつくりかた:顧客視点は仕組みで生み出せる』(悟空出版)より、一部抜粋して紹介します。

多くの会社が「お客様に聞く」ことの重要性をわかっていない

私が多くの会社にコンサルティングで出向かせていただき、大きく実感するのは、皆さん、「お客様の声に耳を傾けること」の重要性を、わかっていらっしゃらないことです。

 

お客様の声に耳を傾けることは、モノが売れるか売れないか以前に、ときには「お客様にお店へ出向いてもらう」ために重要な要素なのです。なのに、ほとんどの方は、お客様の声に耳を傾けようとしていないのが実状です。しかし間違ってはいけないのは、多くの方は「商品を売るためにできること」であれば、なんでもやろうという意欲を持っている方ばかりでしょう。

 

でも、「売れる方法を知るために、セミナーを受けよう」と言えばOKなのに、「どうして売れたのか、お客様を呼んで話を聞こう」と言えば、「えっ?」と疑問の声をあげるのが通常です。

 

あるいは「広告をつくろう」という話になったとき、すぐに皆さんが思いつかれるのは、 「広告会社に仕事を頼もう」ということ。「どんな広告をつくるべきか、まずはお客様の意見を聞いてみよう」などという話になることは、めったにありません。

 

要するに、多くの人がお客様に聞くことの重要性をまったくわかっていないのです。それでは「売れない会社」が「売れる会社」になることはできません。 「お客様目線で考えること」は、社員一丸で行なわないといけないのです。

飲食店における「喫煙ルーム」設置の例

お客様に直接、話を聞かないとわからないことは仕事の中にいくらでもあります。たとえば、飲食店などの「喫煙ルーム」の話があります。

 

飲食店での喫煙が制限された際、お店を全面禁煙にすると売上が減ってしまうと考えたお店の中には、小さな喫煙ルームを設けるところがありました。そうすれば、喫煙者にとっても、非喫煙者にとっても、満足できる時間を提供できるのではないか……?

 

ところが、非喫煙者に聞けば、喫煙ルームから帰ってきた人は、体や服に臭いがついていて気分が悪くなるから、選ぶなら完全禁煙のお店を選ぶ。喫煙者にとってみれば、わざわざ吸いたいときに喫煙ルームに行くのが面倒だし、コーヒーやお酒などを飲みながらタバコを吸うことができない。だから非喫煙者と一緒でなければ、喫煙席のあるお店を選ぶ。結局、禁煙にして喫煙ルームを設けた飲食店は、思ったように上手くいかなかったところが多いと聞きます。

 

このときも推定だけで物事を判断せず、事前に、何度もお店に来てくれているお客様の意見を聞けば、どうするのが正解だったのかの答えは明白だったはずです。簡単な手間を省いたために、多くのお客様を失ってしまう結果となったのです。

 

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「お客様目線のつくり方」

「お客様目線のつくり方」

岡本 達彦

悟空出版

この本は、ビジネスの現場で「お客様目線」を持つことの重要性と、その実現方法を体系的に探るもの。「お客様目線」を適切に理解し、それを自社の経営やサービスにどう取り入れるかという具体的な手法を詳細に解説しています。…

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