(※写真はイメージです/PIXTA)

日本が「イノベーション後進国」と言われて久しいなか、『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』著者の鈴木健二郎氏は、日本の企業や個人はこれまで革新的な技術やアイデアを生み出している一方、日本独自の「詰め込み教育」と「清貧思想」の弊害が深刻だといいます。変われない日本を待ち受ける恐ろしい未来とは……みていきましょう。

“ジリ貧”の背景にある「詰め込み教育」と「清貧思想」

こうした問題の背後には何があるのでしょうか。私は、与えられた課題を解くだけの「詰め込み教育」の弊害なのか、「課題・ニーズ」を自ら考えるのが苦手であることに、根本的な問題があるように思えてなりません。

 

また「清貧思想」の弊害なのか、お金を稼ぐための教育が一切なく、したたかにビジネスモデルを構築して、価値のある商品・サービスに対して、胸を張って対価を獲得するのが苦手であることも影響していそうです。

 

先のイノベーションを完成させるための3つの構成要素が満たされていないことに加えて、「伝統主義」にとらわれて現状維持バイアスが働いてしまい、先輩が敷いた「ルール」「常識」から外れるのが苦手である、「村社会」「排他主義」が邪魔して「共創」するのが苦手である、「安定志向」に陥りリスクを正しく見積もって行動するのが苦手である、といった日本人の傾向も関係があるのではないでしょうか。

顧客の課題・ニーズに寄り添う必要性

いずれにしても、これらの問題を克服して、イノベーションの3つの構成要素を満たせない限り、せっかく素晴らしい技術やアイデアを持っていても、社会・顧客の価値に変換することはできません。社会・顧客の価値として浸透しなければ、ダイナミックに対価を獲得することもできず、「ジリ貧」になっていくことは目に見えています。

 

良いものをつくるだけでは売れず、顧客の課題・ニーズに寄り添った体験価値が求められるようになった現在、イノベーションが生まれずに、「失われた30年」を過ごすことになった原因はここにあります。

 

これが、イノベーション後進国としての日本の現状であり、将来が予測しがたいVUCA時代に入った今、このままでは「40年」「50年」と、失い続けることが心配されます。

 

 

鈴木 健二郎

株式会社テックコンシリエ代表取締役

知財ビジネスプロデューサー

 

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※本連載は、鈴木健二郎氏の著書『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

鈴木 健二郎

ポプラ社

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