“隠ぺい”や“仮装”がない「重加算税」
国税通則法68条は「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときには重加算税を賦課する」と定める。
条文を文理どおりに解釈すれば、何らかの仮装・隠ぺい行為があったことが重加算税を賦課する要件になると考えられ、過去の裁判例等では「過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要する」として確定している。
しかし、典型的な隠ぺい、仮装行為がない場合の重加算税の賦課要件について「その意図を外部からも覗い得る特段の行動」が問題となった平成7年最高裁判決は、従来の裁判例と考え方がやや異なる。
事案の概要は、納税者は多額の株式売買による所得があるにもかかわらず、その事実を顧問税理士に告げずに申告額から除外した。しかしながら、納税者は株式の売買について、取引の名義を架空にしたり、その資金の出納のために隠れた預金口座を作ったりはしていなかった。
判決要旨で、
「重加算税を課するためには納税者のした過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装にあたるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要する。
しかし、重加算税の制度趣旨にかんがみれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的行為が存在したことまで必要であると解するのは相当ではなく、納税者が、当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からも覗い得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした場合には、重加算税の賦課要件が満たされる」
と判じた。
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