宗教法人の税務調査に対するマスコミ報道
日光東照宮など5億円の申告漏れ――国税指摘
世界遺産に登録されている日光東照宮(栃木県日光市)などを運営する3宗教法人が関東信越国税局の税務調査を受け、2009年までの5年間で計約5億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。過少申告加算税を含む追徴税額は1億円余という。
申告漏れを指摘されたのは、いずれも日光市にある東照宮と二荒山神社、輪王寺の3宗教法人。
宗教法人は、お布施など公益事業による収入は原則非課税である一方、駐車場経営や物品販売などの収益事業による収入は申告する必要がある。しかし、3法人は、駐車場経営による売り上げなどを公益事業として計上し申告せず、このうち輪王寺は数珠や線香などの物品販売も公益事業として処理していたという。
この報道に疑問を抱くのは私だけでしょうか? 表題では「日光東照宮など5億円の申告漏れ」と報じています。
東照宮も二荒山神社も輪王寺も別々の宗教法人ではないのでしょうか? 別々の法人なら、なぜ「3社で5億円の申告漏れ」と報じなければならないのでしょうか? 理由は明快です。「5億円の申告漏れ」という大きな見出しが欲しいだけです。
実際に、この報道の反響でも明らかなように、ネット上には宗教法人に対する課税強化を求める声が溢れています。
税務調査は基本的には外部の者には伝わらないはずです。国税関係の記事は、国税当局から国税担当記者へ発表されます。それでは国税当局が「3社で5億円の申告漏れ」と発表したのでしょうか?
国税に勤務した者として、その可能性は非常に低いと思っています。なぜなら国税当局は、国税担当記者から「沈黙の艦隊」と呼ばれているように、非常に口が堅く、慎重な発表が多いからです。
ある地域の宗教法人全体の調査結果として、追徴税額がどれだけあったとの報道ではなく、近くにある3宗教法人の結果だけをまとめて追徴税額がいくらあったといった報道には、不自然さを感じざるを得ません。
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