(写真はイメージです/PIXTA)

23年第2四半期の国内の不動産取引総額は、前年同期比13.6%のマイナスとなり、市場の停滞が続いています。本稿ではニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、国内不動産市場の動向について解説します。

国内全体の不動産取引の動向(2023年第2四半期)

米国の不動産市場調査会社であるMSCIリアル・キャピタル・アナリティクス(以下、売買データは同社が2023年8月16日時点で把握しているもの)によると、国内不動産市場の2023年第2四半期の不動産取引総額は約1兆2,300億円、前年同期比は▲13.6%とマイナスであった(図表1)。

 

第1四半期よりも減速傾向は弱まった1が、2023年上期も▲18.9%と売買市場の停滞が続いている。

 

 

とはいえ、国債金利が安定し、不動産価格が下落する懸念が少ない日本の不動産市場は他国の市場に比べて相対的に取引額が多い。

 

2023年上期のアジア太平洋地域内の各国・地域への投資額は日本が最多で163億ドル(前年比▲25%)、都市別の投資額は東京が83.6億ドル(前年比▲26.4%)で域内1位(2022年通年も1位)、大阪が16.1億ドル(前年比▲16.2%)で9位(12位)となった(図表2)。

 

2023年上期の用途別の取引額が全体に占める割合は、物流施設が22.6%(+11.8%)、ホテルが12.8%(+5.8%)と増加したが、オフィスが27.2%(前年通年より▲9.7%)、賃貸マンションが15.1%(▲3.1%)、開発用地が11.8%(▲3.4%)と減少した(図表3)。

 

オフィスは海外市況の悪化から外国資本の投資が控えられているほか、国内市場では2025年の東京等の大都市での新規オフィス大量供給を控えて、これから2次空室の発生が予測され、先行きの不透明感が強くなっている。

 

一方、物流施設への投資需要は依然として強く、第2四半期としては過去10年間で最高額となった。また、旅行需要の回復が続くホテルの取引も多くみられた。

 

 

 


1 渡邊布味子『不動産投資市場動向(2023年第1四半期)~不動産売買は急減速。国内市場外で高まるリスクに注視』(ニッセイ基礎研究所、研究員の眼、2023年06月13日)

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年8月21日に公開したレポートを転載したものです。

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