保険金を一時所得で受け取れることができれば…
前回に引き続き、生命保険が相続に役立つ理由について説明します。
【⑥要件を満たせば、特別受益になりません】
これは、相続人の間に著しい不公平感がなければ成立します。特別受益については、拙著『開業医の相続対策は「奥様」がやりましょう』第2章で説明しています。
【⑦契約形態を変更することで、一時所得にすることができます】
生命保険の契約者と保険金を受け取る人が同一である場合、受け取ったお金は一時所得になります。仮に1億円を受け取っても、そこから払い込んだ保険料などを差し引き、さらに50万円を控除したうえで、その2分の1が総合課税されます。相続税が30%以上かかる場合は、相続するよりも、税率的にお得です。
【⑧短期間に、相続対策を整えることができます】
これも大きなメリットです。生命保険は加入した直後からその権利を確保することができます。生命保険に入った翌日に事故で亡くなっても、100%の保険金が支払われます。健康状態など加入するための条件さえクリアできれば、入ったその場で対策が成立するのです。
退職金原資の積み立てとしての活用法も
【⑨個別に設計できるので、予算に応じて自由度が高いです】
生命保険は、「予算に応じて自由に設計」ができます。予算が少なければ少ないなりに、予算が大きければ大きいなりに、目的や事情に合わせて商品を組み立てることができるのです。
【⑩気が変わったら、解約することができます】
生命保険は、好きなときに解約してかまいません。生命保険は途中で解約すると「解約返戻金」というお金が戻ってくるのですが、これを院長の退職金の原資として使う方法もあります。たとえば、院長が70歳で退職しようと思っているのなら、ちょうど70歳あたりで解約返戻金がピークになるような生命保険を設計して入っておくのです。そして、退職のタイミングで解約すれば、多くのキャッシュを調達することができます。
【⑪相続開始で、生命保険は終わります】
生命保険は被保険者が死亡した時点で終わりますから、後々まで保険料の支払いが続くわけではありません。
相続対策のために借金をしてアパートを買ったら、その借金やアパートの管理を相続人が引き継がなくてはなりません。これが相続する子によっては結構負担になってしまう場合もあります。その点、生命保険は受け取って終わりですから、とてもスッキリしています。不動産などのモノでもらうより、お金でもらったほうが自由に使えて嬉しいという相続人はたくさんおられ、とくに女性はそのような傾向が強いかもしれません。