2-3. 人口移動の動向~関西圏全体では、転出超過が続く。一方、大阪市は転入超過が継続
総務省「住民基本台帳人口移動報告」によれば、関西圏の転入超過数4は、2011年を除き、マイナス(転出超過)の状況が続いている(図表-6)。
都道府県別にみると、大阪府は2015年以降、滋賀県は2021年以降、プラス(転入超過)で推移しているが、その他の都道府県では、長期的にマイナスで推移している。
また、政令指定都市の転入超過数をみると、堺市は2013年以降、神戸市は2014年以降、京都市は2017年以降、マイナス(転出超過)に転じている(図表-7)。
一方、大阪市の転入超過数はプラスかつ概ね増加傾向で推移しており、2019年には+約1.7千人に達した。コロナ禍後はやや勢いが鈍化したものの、2022年の転入超過数は+約9千人となり、プラスを維持している。
関西圏全体では、長期的に「転出超過」の状況が続いているが、大阪市のみ「転入超過」となっている。
4 転入超過数=転入者数-転出者数
2-4. 新築マンション購入層の動向~「夫婦のみの世帯」と「未就学児がいる共働き世帯」が需要を支える
リクルート住まいカンパニー「関西圏新築マンション契約者動向調査」によれば、関西圏における新築マンション購入者の世帯構成は、「夫婦のみの世帯」と「子供あり(第1子小学校入学前)世帯」の占める割合が大きい(図表-8)。
総務省「国勢調査」によれば、関西圏の「夫婦のみの世帯」は2020年に185万世帯となり、2005年対比+13%増加した(図表-9)。大阪市においても22.2万世帯となり2005年対比+6%増加した。
一方、関西圏の「夫婦と子供から成る世帯(6歳未満の子供あり)」は2020年に59万世帯となり、2005年対比▲16%減少した(図表―10)。大阪市では、2005年の8.3万人から2015年の7.8万人に減少した後、2020年に7.9万人にやや増加した。
ただし、国立研究開発法人建築研究所の推計5によれば、関西圏の未就学児がいる共働き世帯6は、2020年に22万世帯となり、10年間で+37%増加した(図表―11)。
特に、大阪市では2.4万世帯となり、10年間で+47%増加した。少子化の進行に伴い、未就学児がいる世帯総数は減少しているが、未就学児がいる共働き世帯は大幅に増加している。リクルートの調査によれば、関西圏の新築マンション契約世帯に占める共働き世帯は、2005年の37.5%から2022年の50.8%に増加している。
したがって、「夫婦のみの世帯」と「未就学児がいる共働き世帯」の増加が、関西圏における新築マンションの需要を支えていると考えられる。
5 中野 卓,今野 彬徳「共働き子育て世帯に関する全国・都道府県・市区町村別集計」、建築研究資料、No.209、2023
6 6歳未満の末子を有する共働き世帯(共に正社員の世帯および正社員とパートタイムの世帯)
注目のセミナー情報
【国内不動産】4月26日(土)開催
【反響多数!第2回】確定申告後こそ見直し時!
リアルなシミュレーションが明かす、わずか5年で1,200万円のキャッシュを残す
「短期」減価償却不動産の節税戦略
【資産運用】5月10日(土)開催
金価格が上昇を続ける今がチャンス!
「地金型コイン」で始める至極のゴールド投資