(※写真はイメージです/PIXTA)

「贈与税」は贈与者から贈与を受けた人(受贈者)に課せられる税金です。とはいえ贈与を受けたら必ず課税されるというわけではありません。本記事では「贈与税」を非課税にするために利用可能ないくつかの「控除制度」について解説していきます。

「年間110万円までなら贈与税がかからない」は本当か?

贈与者から贈与を受けた人(受贈者)に課せられる税金が贈与税です。

 

ただし、贈与を受けたら必ず贈与税が課せられるわけではなく、基礎控除額110万円が用意されています。

 

贈与された財産の合計額から、基礎控除額を差し引いた残りの金額が贈与税の対象です。この仕組みは「暦年課税」と呼ばれています。なお、1年間の贈与額合計が110万円以下に収まれば、非課税となります。

贈与税の基礎控除額110万円の意味

贈与税は贈与を受けた人(受贈者)が対象となるので、基礎控除額110万円は「贈与を受けた人」の贈与財産の合計額から差し引きます。

 

対象となる期間は1年間(1月1日〜12月31日まで)に受け取った、贈与された財産の合計額です。そのため、複数人の贈与者から贈与を受けた場合、それぞれの贈与額が110万円以内に収まっても、贈与税が課される可能性もあります。

 

例をあげると次の通りです。

 

(例)2022年3月1日、祖父A・父Bは子(孫)Cにそれぞれ100万円相当の贈与をした。Cは2022年にそれ以外の贈与を受けていない。

 

・祖父A:贈与額100万円

・父B:贈与額100万円

 

いずれの贈与も基礎控除額110万円を下回っていますが、Cの受け取った1年間の贈与額の合計が110万円を超えています。

 

(祖父Aの贈与額100万円+父Bの贈与額100万円)-110万円=90万円

 

このケースでは90万円が課税対象です。

年間110万円を超えなければ“必ず”非課税になるのか?

贈与額が基礎控除額110万円に収まれば、必ず非課税になるとは限りません。次のような例外もあるので注意しましょう。

定期贈与とみなされてしまった場合

定期贈与とは契約書を作成し、一定期間・一定の財産を贈与する方法です。例えば「15年間にわたり毎年100万円をあげる」という贈与契約書を作成して贈与するケースがあげられます。

 

定期贈与の場合総額1,500万円を贈与する契約が先にあり、それを毎年分割により贈与していくので、分割した贈与額が毎年110万円以下に収まっても、総額1,500万円に対して贈与税が課されます。

 

毎年、同じ時期・同じ金額を同じ受贈者に対し、継続的に贈与していると、税務署から「まとまったお金を単に分割して支払っている」と疑われるおそれもあります。

 

そのため、たとえ1年間の贈与額が110万円以内に収まっても、税務署から申告・納税するよう指摘される可能性があります。

相続時精算課税制度を利用した場合

相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子(孫)へ贈与が行われる際に、子(孫)の選択により利用できる制度です。

 

この制度には2,500万円の特別控除があり、特別控除の限度額に達するまで贈与税が課されません。ただし、限度額を超えてしまうと超過分に一律20%の贈与税がかかります。

 

また、本制度は2,500万円分が税金の免除対象となるのではなく、相続が発生するまで納税が猶予される仕組みです。相続時に贈与分も課税対象となります。

 

その他、相続時精算課税と暦年課税の併用はできず、「贈与額が2,500万円の特別控除を超えたら、今度は基礎控除額110万円を利用する」という方法も認められません。

 

そのため、特別控除が適用されなくなった後、たとえ年間の贈与額が110万円以内に収まっても、課税対象となる可能性があります。

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