遺産分割調停とは? 費用はかかる?
遺産分割調停とは、相続人の間で遺産分割協議を行っても話がまとまらなかった場合、家庭裁判所に申し立て解決を図る方法です。
調停では裁判官(家事審判官)・調停委員で組織される調停委員会が、当事者双方の主張・希望を聴いて、アドバイスや解決策を提案し、遺産分割の話し合いを進めていきます。
遺産分割調停にはいろいろな費用がかかります。主に想定される費用は下表の通りです。
遺産分割調停の申立費用の他、どのような遺産があるのか、士業専門家への依頼の有無で、かかる費用に差が出てきます。
遺産分割調停の申立にかかる費用はどのくらい?
遺産分割調停を申し立てる場合は申立手数料、予納郵券(郵便切手)が必要です。ただし、申立費用自体はそれほど高額になりません。
郵便切手は連絡用に使用します。郵便切手の費用は裁判所ごとに異なっていますが、相続人が5.6人いたとしても数千円程度に収まるはずです。
遺産分割調停で必要な書類を収集するのにかかる費用
家庭裁判所に提出する書類は被相続人の他、相続人全員の戸籍謄本や住民票、遺産に関する証明書等が必要です。
相続人が何人いるのか、遺産にはどんな種類があるのかで、かなり費用負担は変わってきます。必要書類を収集するための費用は数万円に上る場合もあるでしょう。
遺産分割調停で不動産鑑定を行う場合の相場は?
遺産分割の際、被相続人の残した不動産の評価額に争いがある場合、正確な鑑定が必要となります。
鑑定は素人が行うのではなく「不動産鑑定士」という不動産鑑定評価の専門資格を有する人が実施しなければいけません。
例えば鑑定評価額が5,000万円以下の場合、概ね次のような鑑定費用となります。
不動産資産がどれくらいあるのか、建物の規模や土地の広さ等でも鑑定費用は異なってきます。
遺産分割調停の弁護士など専門家費用の内訳と相場
遺産分割調停において士業専門家へ依頼するかどうかは当事者次第です。しかし、依頼をすれば適切なアドバイス、調停委員への効果的な主張が期待できます。
弁護士をたてる場合
弁護士は依頼者のために調停のアドバイスや書類の作成・申立、調停の際に同席し主張する等、トータル的なサポートを行います。費用は相談料・着手金・報酬金・実費・日当がそれぞれかかります。
相談料・実費・日当の目安
いずれの費用も弁護士事務所ごとに、自由に設定が可能です。
着手金の目安
着手金とは、弁護士に遺産分割調停を依頼する際、結果がうまくいっても・うまくいかなくても、それに関係なく支払うお金です。こちらも弁護士事務所ごとに、自由に設定が可能です。
ただし「(旧)弁護士報酬基準」を参考に、着手金額を設定している事務所も多いです。下表をご覧ください。
相続する財産の規模で着手金額は違ってきます。なお、遺産分割調停の場合は相続に争いがある遺産、相続に争いがない遺産で、経済的利益の額が異なります。
例えば、自分が相続を主張する遺産1,200万円分のうち、遺産600万円分については他の相続人で争いがあり、残りの600万円分には争いがない場合、次のように算定されます。
・争いがある遺産600万円分:経済的利益600万円
・争いがない遺産600万円分:経済的利益200万円(1/3に減額)
よって経済的利益は「600万円+200万円=800万円」です。
経済的利益800万円なので「5%+90,000円」に該当し
800万円×5%+90,000円=130,000円
着手金は13万円となります。