3―消費者の政府・自治体の要望
政府や自治体に対する要望については、そう思うとの回答は「電気代やガス代などの価格を抑制するような取り組みが(継続的に)必要だ」(70.3%)で7割を超えるほか、「(下請け企業が泣き寝入りせず)適切にコスト増を価格転嫁できているかの監視が必要だ」(66.0%)や「企業の不当な値上げや売り惜しみの監視が必要だ」(64.1%)、「企業が適切に従業員の賃金に還元しているかの監視が必要だ」(63.1%)、「所得税控除枠の拡大など税制改正(による負担軽減策の検討)が必要だ」(61.8%)で6割を超えて多い[図表4]。
つまり、消費者は政府や自治体に対して、現状実施されている電気代等の価格抑制策などの家計支援策を強く求める一方、適切な価格転嫁や賃金への還元など企業活動の監視も同時に強く求めている。
属性別に見ても、いずれも家計支援策を強く止める傾向がありつつ、高年齢層ほど企業活動の監視や値上げについての情報提供、税制改正といった幅広い要望が強く、子育て世帯を中心とした若い年代では子育て世帯への優先的な給付や現物給付の要望が強い傾向がある[図表5]。
4―今後の消費は実質賃金上昇が鍵
5月に新型コロナウイルス感染症の感染症分類が変更されて以降、コロナ禍で控えられていた外食や旅行などの消費行動が一層、活発化している。
物価高は継続しつつも、コロナ禍の消費抑制で家計の貯蓄はおしなべて増えており*2、今後の個人消費には更なる改善が期待できるだろう。
一方で今年の春は賃上げの機運が高まったものの、5月の労働者の実質賃金(現金給与総額)は前年同月比▲1.2%に留まっている(厚生労働省「毎月勤労統計」速報値)。
今後の賃金や夏の賞与の改善が期待されるところだが、物価上昇に対して実質賃金の伸びが劣後する状況が続けば、消費者の行動欲求が一旦、満たされた後は節約志向が色濃くあらわれる懸念があるだろう。
*2 久我尚子「世帯年収別に見たコロナ禍3年の家計収支」(2023/3/20)
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