「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」のしくみ
A氏のように厚生年金に加入していれば、老齢年金として「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類が受給できます。現在はパート勤めをしているA氏の妻も出産前は会社員でしたので、A氏と同様に受給することが可能です。なお、厚生年金に加入歴がなければ「老齢基礎年金」のみの受給となります。
■老齢基礎年金の受給額
「老齢基礎年金」は、20歳~60歳までの40年間(480月)のうち、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間などを合わせて10年以上あれば、65歳から受給することができます(なお、厚生年金に加入している期間は国民年金にも加入しているしくみになっています)。
40年間保険料を納付した場合、満額79万5,000円※(月額になおすと6万6,250円)受給できます。
※ 受給額は毎年変動する。上記は令和5年度の金額。
ただしA氏は、一浪して大学に入学し、大学院の修士課程を修了後、25歳でいまの会社に就職しました。そのため、20歳~25歳のあいだで5年間の未納があり、その期間分の9万9,400円は減額されます。
したがって、「ねんきん定期便」に記載されていた69万5,600円に間違いはありませんでした。
■老齢厚生年金の受給額
「老齢厚生年金」は、「報酬比例部分」と「経過的加算部分」の記載項目があります。
「報酬比例部分」は、厚生年金加入期間の給与から算出されます(平成15(2003)年4月以降は、賞与も含めて算出します※)。
※ 計算の詳細は、日本年金機構「は行 報酬比例部分」を参照。
具体的には、毎月の給与(=報酬月額)を32等級に分けます[図表1]。たとえば給与が9万3,000円未満の場合、区分は「1等級」となり、標準報酬月額は8万8,000円となっています。給与が63万5,000円以上の場合は全員「32等級」となり、標準報酬月額が65万円として計算されます。
つまり、毎月の給与が63万5,000円であっても100万円であっても、標準報酬月額は等しく65万円として報酬比例部分の年金受給額が算出されるということです。
「経過的加算部分」は後述しますが、A氏の「ねんきん定期便」に書かれていた老齢厚生年金の報酬比例部分144万5,700円にも、なんら間違いはありませんでした。
なお、「ねんきん定期便」には記載されていないものの、A氏は65歳以降、妻が65歳になる(年金受給開始年齢になる)まで、39万7,500円(※令和5年度)の「加給年金」を受給できます。
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