株価大暴落の翌日「浮かぬ顔」の元公務員男性
8月6日火曜日の朝、誠さん(仮名・61歳)は、浮かない顔をして1歳下の妻と朝食を食べていました。
テレビで株価大暴落のニュースを目にした妻は、次のように言います。
「そういえばあなた、株式だか投資信託だか買ったって言ってませんでしたっけ? 大丈夫なの?」
一番聞かれたくない質問に、誠さんはギクリ。「ああ、損をした人もいるみたいだな……」大事な退職金を1,000万円近くも株につぎ込んだとは、口が裂けても言えません。誠さんは内心冷や汗をかきながら、なんとかごまかしました。
誠さんが新NISAを始めたきっかけ
今年1月、61歳の誕生日を迎えた誠さんは、長年勤めた地元の市役所を退職※して、約2,500万円の退職金を受け取りました。
※ 国家公務員は、令和5年度から2年ごとに1歳ずつ定年の年齢を引き上げており、令和13年度(2031年度)には定年が65歳となる。これにともない、地方公務員の誠さんの定年は61歳となった。
退職金の使い道については以前から夫婦で話し合っており、旅行や孫への入学祝いにあてることは妻と意見が一致しています。
しかし、誠さんには密かな“野望”がありました。というのも、住宅ローンを組む際にお世話になった銀行マンから、たびたび資産運用の“熱烈勧誘”を受けていたのです。「預貯金だけではお金は増えませんよ」「新NISAから投資を始めてみませんか」「退職金でまとまった資金が手に入る時期が始めるチャンスです」……繰り返し話されるうち、誠さんは投資に興味を持つようになりました。
そこで誠さんは妻に、「老後資金を増やす意味でも、退職金を使って株式や投資信託に挑戦してみたい」と提案してみましたが、「大事な退職金をそんな怖いものに使わないで」と、これについては賛成してもらえませんでした。
しかし、誠さんは諦め切れません。「新NISAが話題になっているし、これならいいだろう。銀行さんが言うことだから、きっと上がるはずだよ」と妻を説得。国内のAI関連企業を集めた株式の投資信託「Aファンド」を、新NISAの「成長投資枠」の年間投資枠240万円分、購入することにしました。
誠さんはそれから毎朝、Aファンドの基準価額を見るのが日課になりました。とはいえ、退職金を含め貯蓄は3,000万円近くあるのに、240万円だけの投資では、なにか物足りない気持ちです。
懇意の銀行マンに相談すると、「『つみたて投資枠』との併用がいかがですか。同じ新NISAで、毎月10万円まで年間120万円積み立てることができますと勧められました。
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