現在も順調には進まない経済成長
中国の経済成長は長らく「粗放型成長」と呼ばれ、資本や安価な労働力の大量投入を前提とした、いわゆる量的拡大による発展モデルでした。
しかし、人口減少や賃金の上昇でその発展モデルは既に限界を迎えたと考えられており、 中国は持続可能な発展を目指し、投資・輸出主導の経済成長から内需・消費主導の成長モデルへの転換を図っています。しかし現在、その試みは必ずしも順調に進んでいるとは言えない状況です。
2001年以降の実質GDP成長率を、純輸出、総資本形成と最終消費に分解し、GDPに対する寄与度をまとめました ([図表2]・[図表3])
2000年代に入ってから、最終消費の寄与度は縮小したり拡大したりを繰り返してきました。とりわけ、2008年秋のリーマン・ショックの後に、投資を中心とした4兆元の大型景気刺激対策が実施された結果、2009年と2010(投資)年の最終消費の寄与度は、総資本形成の寄与度よりも低くなっています。
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大による消費の落ち込みが大きく、最終消費の寄与度をマイナスにまで押し下げました。
2021年の最終消費支出がGDPに占める割合は 54.5%で、総資本形成より11.5%も高く、回復していますが、総じて言えば、2001年以降、消費に経済全体をけん引するほどの力強さはありませんでした。前述したように、中国経済は内需・消費主導に切り替わりつつありますが、その道のりはいまだ半ばと言えるでしょう。
趙 瑋琳
株式会社伊藤忠総研 産業調査センター
主任研究員
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