(※写真はイメージです/PIXTA)

親の老後のマネープランがしっかりしていても、その子の生き方が親の老後の生活に 大きく影響するケースがあります。「不自由なく育てたはずなのに」「厳しく育てたはずなのに」どこで歯車が狂ってしまったのか……。本記事ではFP1級の川淵ゆかり氏が、Aさんの事例とともに、引きこもりの子が家計におよぼす影響について解説します。

引きこもりの生活費をどうするか

Aさんの場合はかなりの資産がありましたので、息子さんが国民年金を満額受給できる状態になれば生活できていけそうですが、資産のないご家庭では親御さんからの援助がなくなると瞬く間に生きていけなくなります。生活保護を考える人も多いですが、必要な条件を満たさないといけないため、簡単に受給できるものでもありません。

 

なお、国民年金には、老後の生活のための年金だけではなく、障害年金もあります。

 

医師から「統合失調症」「発達障害」「躁うつ病」で日常生活が送れない、といった診断が受けられるとともに必要な受給要件を満たせば障害年金が受給できます。障害基礎年金の金額は、 障害等級1級が99万3,750円、2級が79万5,000円です。(令和5年度)

 

なお、 国民年金保険料を払っておかないと受給できませんので、きちんと納めておきましょう。

生活が苦しくなる前に早めの相談を

Aさんは、「私が家にいても息子は嫌でしょうから、妻の年金受給が始まるまでの2年間は続けて働いてみようかと思います」とおっしゃいました。

 

お金の問題も大事ですが、Aさんが仕事を理由に息子さんから逃げているように筆者は感じてしまいました。来る日も来る日も下の階から2階の様子を伺いながら暮らしている専業 主婦の奥さんの気持ちを考えると、そのほうが見るに忍びなかったです。

 

筆者は専門家ではありませんが、Aさんの息子さんに対する接し方にも問題があったと思い ます。そしてなにより我が国自体も財政状態は大きな問題を抱えていますし、今後高齢者問題が 本格化してきますから、年金を始めとする社会保障制度もどうなるかわかりません。いまからでも引きこもりの生活から脱却するために親子そろって考えていく必要がある時期だと思います。

 

筆者とAさんは長い付き合いなので胸中を打ち明けて話していただきましたが、ふつうは世間体もあって、親御さんの元気なうちは引きこもりの問題は表立って出てきません。ですから、親御さんが介護状態になったり、急に倒れたりしたときに一気に表面化してきます。そのときはすでに手遅れ状態になっていても不思議ではありません。

 

引きこもりには下記のような相談窓口があります。家庭内だけで解決しようとせず、悩みのある方は早めに相談してみましょう。

 

<参考>

厚生労働省 引きこもり相談窓口の紹介

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

 

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※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

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