非正規で食いつなぎ…“ギリギリの生活”を続けてきたAさん
現在67歳のAさん。高校を卒業後、大手メーカーの工場で勤務し始めましたが、もともと身体が丈夫でなかったことから、身体を壊して数年後に退職。
その後は非正規雇用で食いつなぎ、10年前から実家の自営業を手伝っていました。しかし、両親はまもなく高齢を理由に廃業を決断。Aさんはまたもや職を失ってしまいます。
その後、夜間の清掃アルバイトを始めたAさんでしたが、Aさんが60歳を過ぎたころ、相次いで両親が亡くなってしまいました。
両親が健在のころは、Aさんのアルバイト収入のほか、世帯年収として両親の年金もあったため、実家暮らしのAさんが困ることはありませんでした。しかし、ひとり世帯になってからというもの、赤字の月も少なくありません。
Aさんは細々とアルバイトを続けながら、親の遺産1,000万円を取り崩して生活する日々が続きました。
そのようななか、65歳を過ぎて体力の限界を感じたAさんは、清掃アルバイトを退職。現在の収入は月6万円の年金のみです。さらに生活が厳しくなり、Aさんはこれからの生活に不安しかありません。
郵便受けに入っていた「緑色の封筒」…差出人は
そんな厳しい生活が続いていたある日のこと、Aさんは自宅のポストに「緑色の封筒」が入っていることに気づきました。差出人は「日本年金機構」のようです。
家に入り、Aさんが封筒を開けてみると、なかには「年金生活者支援給付金請求書」というものが入っていました。
まったく心当たりのない封筒に不信感を抱いたAさんでしたが、インターネットで調べてみたところ、どうやら基礎年金を受給している人のうち新たに「年金生活者支援給付金」を受け取ることができる人へ送付しているようでした。
低所得者向けの「年金生活者支援給付金」とは?
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金とは別の制度で、年金を受給する低所得者向けの福祉的な給付金のことです。2019年10月、消費税が10%に上がることを機に始まった制度で、財源は全額税金です。
具体的には、基礎年金(老齢基礎年金・障害基礎障害・遺族基礎年金)を受給している人のなかで「所得が低い人」を対象として支給されることになっています。
65歳以上で老齢基礎年金を受給し、所得要件を満たしている場合は、この「年金生活者支援給付金」のうち「老齢年金生活者支援給付金」あるいは「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象となります。
Aさんはすでに65歳以上で、かつ所得要件を満たしていることから、このたび「緑色の封筒」が届いたのでした。