“ひと昔前”に流行った居酒屋オーナーの悩み
夫婦で居酒屋を営んでいたAさん夫妻、ともに63歳。20年前にはテレビにも紹介され、店は大繁盛。ピーク時は市内に3店舗を構え、年商は億を超えていました。
しかし、流行は残酷で、数年も経つと徐々に客足は減っていき、とどめはコロナ。現在は創業店の1店舗を夫婦で切り盛りしています。
加えて、長年の立ち仕事がたたり、Aさんの奥さんは腰を悪くしてしまいました。このような理由から、Aさんは「引退して年金暮らしをしたい」と悩み、筆者のもとへ訪れました。
Aさん夫妻の現状
Aさんも奥さんも年金は65歳からの老齢基礎年金のみで、それぞれ月6万円、合計12万円の見込です。仮に廃業しても店についての負債・借金などはなく、貯蓄も4,500万円ほどあります。
ただし、夫婦2人で生活する場合、年間400万円の生活費と仮定すると、65歳までは収入が0円、65歳からの収入が年金の144万円(2人分の年額)のみである場合、貯蓄は80歳直前で底をつくことに。このシミュレーションをみたAさんはしばらく絶句してしまいました。
では、Aさん夫妻を待ち受ける悲劇が現実とならないために、できることはないのでしょうか。
長生きリスクに備えるための年金
Aさんも奥さんも厚生年金に加入したことがなく、国民年金のみの加入のため、65歳から老齢基礎年金が月6万円ずつ、合計12万円とのこと。公的年金の特徴は終身で支給されることにはなりますが、12万円の老齢基礎年金のみでは心許ないことでしょう。
店の経営を続けられるなら続けるのが理想のところ、奥さんもいてこそ成り立つ経営で、奥さんが腰を痛めたことで経営が困難となるようなら、廃業もやむを得ないでしょう。
廃業後は年金生活を考えているとのこと。65歳からの年金を63歳など65歳前に繰上げ受給する方法がありますが、年金額が減額(Aさん夫婦の場合は1ヵ月繰上げで0.5%減額)されてしまい、減額された年金が一生涯続くことになります。
ここはむしろ、年金は受給開始を遅らせて増額する繰下げ受給について検討する価値があります。繰下げによって増えた額が終身で支給され続けることになり、長生きリスクへの大きな備えとなるためです。
最大75歳まで繰下げをすることができ、1ヵ月につき0.7%の増額率となるため、最大84%の増額が可能です。長生きした場合には、繰上げした場合や65歳開始で受給した場合より安心できます。
幸い貯蓄があるとのことなので、年金受給までは貯蓄などを活用して過ごし、年金は75歳で繰下げ受給をする流れで考えてみてはよいのでしょうか。
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