懲役3年、罰金1,000万円、追徴金6,257万円の実刑判決も…「知的財産権の侵害」が招く大惨事【弁護士が解説】

懲役3年、罰金1,000万円、追徴金6,257万円の実刑判決も…「知的財産権の侵害」が招く大惨事【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

知的財産権には、著作権や特許権、商標権など複数の権利が存在します。では、知的財産権を侵害された場合には、どのように対応すればよいのでしょうか? また、自社の業務にあたって知的財産権を侵害してしまわないためには、どのような予防策を講じればよいのでしょうか? 今回は、知的財産権の侵害を予防する方法や侵害行為の被害に遭った場合の対処法などについて、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

知的財産権の侵害とは

知的財産権の侵害とは、自分が権利を有していない知的財産を無断で利用する行為などをいいます。

 

それぞれの知的財産権の侵害とは、次の行為などを指します。

 

◆特許権の侵害

特許権の侵害とは、特許権者から実施(生産など)を許諾されていないにもかかわらず、第三者が業として特許発明を実施する行為などをいいます。

 

たとえば、他社が特許を取得している技術を無駄で利用して製品を製造する行為などが、これに該当します。

 

◆商標権の侵害

商標権の侵害とは、他社の登録商標を無断で使用する行為をいいます。

 

ただし、商標権は商品や役務を指定して登録するものであるところ、登録商品や登録役務とは異なる商品や役務で登録商標を使用した場合には、侵害が成立しない可能性があります。

 

◆意匠権の侵害

意匠権の侵害とは、登録意匠やこれに類似する意匠を製造したり販売したりする行為をいいます。

 

デザインなどの全体的な構成態様の類似性などから、侵害行為か否かが総合的に判断されます。

 

◆著作権の侵害

著作権の侵害とは、著作権の対象となっている著作物を無断で転載したりインターネット上にアップロードしたりする行為などをいいます。

 

また、無断で翻訳したり翻案したりする行為も、著作権侵害に該当します。

 

◆不正競争防止法違反

不正競争防止法違反とは、不正競争防止法に規定される不正競争行為をいいます。

 

たとえば、有名ブランド品の違法コピー品の販売や、他社の有名な商品名を冠して商品を販売する行為などがこれに該当します。

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知的財産権の侵害で大きなニュースになった有名な事例

知的財産権の侵害は、しばしばニュースでも取り上げられます。

 

近年話題となった知的財産権(著作権)の侵害にまつわる主な事件として、次の2つを紹介します。

 

◆「漫画村」事件

「漫画村」とは、違法アップロードをした漫画作品を集めたウェブサイトです。

 

この事件では、2021年6月、主犯格である男性に対して著作権法違反の罪で懲役3年、罰金1,000万円、追徴金6,257万1,336円の実刑判決が下されています。

 

また、アップロード行為者ら3名に対しても、有罪判決が下されました。

 

出版社や関係権利者は、別途民事責任の追及も検討しているようです。

 

◆「はるか夢の址」事件

「はるか夢の址」とは、漫画作品などを違法アップロードしたウェブサイトに閲覧者を誘導する、いわゆる「リーチサイト」であり、当時「日本最大級の出版海賊サイト」といわれていました。

 

この事件では、平成31年1月、「はるか夢の址」を運営していた主犯格の男性3名に対し、いずれも懲役刑の実刑判決が下されています。

 

被害総額は、起訴対象となった一部のデータに限っても3,931万円に上り、非常に悪質な著作権侵害事件であるといえるでしょう。

 

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次ページ知的財産権が侵害された場合の対処法

※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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