(※写真はイメージです/PIXTA)

名誉毀損とは、相手の社会的評価を下げる事実を適示することなどです。最近では、インターネット上での名誉毀損や誹謗中傷が、社会問題となっています。では、職場での悪口などであっても、名誉毀損罪は成立するのでしょうか? 本記事では、職場での悪口や職場である会社の悪口などと名誉毀損について、Authense法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

名誉毀損罪の成立要件

職場での悪口などに刑法上の名誉毀損罪が成立するための要件は、次のとおりです。

 

1.「公然と」に該当すること

1つ目の要件は、「公然と」行われたものであることです。そのため、第三者に聞こえない場所や第三者が通常は見ない1対1のメールなどで行われた発言は、名誉毀損罪には該当しないでしょう。

 

一方、他に多くの人がいる場で行われた場合や、複数の者が見る可能性のある場所に書き込まれた場合などには、この要件を満たす可能性が高いといえます。

 

2.「事実を摘示」すること

名誉毀損罪を成立させるには、「事実の摘示」が必要です。

 

たとえば、単に「営業課の〇〇太郎は役立たず」といった発言であれば、なんら具体的な事実を示していないため、名誉毀損罪には該当しません(ただし、発言の態様などによっては侮辱罪などに該当する可能性はあります)。一方、「営業課の〇〇太郎は顧客の金を着服している」という発言は、事実を摘示していると判断される可能性があるでしょう。

 

なお、ここでの「事実」とは「真実」という意味ではなく、具体的な内容でさえあれば、嘘の内容であってもこれに該当します。

 

3.「人の名誉を毀損」したこと

名誉毀損罪の成立には、「人の名誉を毀損」したことが必要です。「名誉を毀損」するとは、その人の社会的評価を低下させることを指します。

 

そのため、いくら発言によって本人の感情が傷ついたとしても、社会的評価を低下させるとは認められない発言であれば、名誉毀損罪は成立しません。

 

4.同定可能性があること

名誉毀損罪が成立するためには、同定可能性が必要であるとされています。同定可能性とは、その投稿が誰を指しているのかわかることを意味します。

 

なお、これは「〇田一郎」など一部を伏せ字にしたからといって、同定可能性がないといえるわけではありません。仮に伏せ字やイニシャルであっても、見た人が誰のことであるの判別できるような場合には、同定可能性があると判断される可能性があります。

 

5.違法性阻却事由に該当しないこと

ほかの要件をすべて満たす場合であっても、次の要件をすべて満たす場合には、犯罪とはなりません。

 

・公共の利害に関する事実に係るものであること
・その目的が専ら公益を図ることにあったと認められること
・真実であることの証明があったこと

 

これに該当する典型的なものとしては、政治家の不祥事に関する報道が挙げられるでしょう。

 

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