(写真はイメージです/PIXTA)

新築マンション価格は10年間で2.3倍になった東京23区は、首都圏のマンション価格上昇の中心地となっています。本稿ではニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、需要と供給の両面から、新築マンション市場の動向について解説します。

4. デベロッパーは将来のマンション用地を確保できていない

供給者側を見てみると、マンション用地の取得額は減少している。

 

MSCIリアルキャピタル・アナリティクスによると、2023年7月21日までに判明した関東圏のマンション用地の取得額は約158億円1、2023年1-6月累計の前年同期比は▲81.3%とマイナスであった(図表7)。

 

一部のデベロッパーは十分な用地を確保していることが確認できる。

 

しかし、多くのデベロッパーは、用地取得競争の激化と用地価格の高騰、建築費の高騰から、新たな用地を仕入れることが困難になっているようだ。マンション用地購入からマンション完成までには、最短で2年程度の期間が必要である。

 

今年の下期のマンション用地取得額が前年同期の取得額を大きく上回らない限り、2、3年後の新築マンション供給戸数は減少傾向が加速する可能性が高い。

 


1 1千万ドル以上(現在のレートで14億以上)の取引のみを計上。

5. マンション供給エリアは全国で拡大している

なお、用地取得競争の激化から全国の地方都市にも新築マンションの供給が広がっている。購入者は販売エリア近隣の高額所得者などで、価格も上昇している。

 

不動産経済研究所によると、2022年のマンションデベロッパー上位20社合計の年間販売戸数のうち、44%が首都圏で、24%が近畿圏で、30%が首都圏・近畿圏以外で供給されている。

 

またデベロッパーによって供給の多い圏域は異なっており、野村不動産グループ、三井不動産グループ、住友不動産グループなどが年間販売戸数のうちの半分以上を首都圏で供給する一方、タカラレーベングループ、あなぶきグループ、オリックスグループは7割以上を首都圏・近畿圏以外で供給している(図表8)。

 

2022年は全国の新築マンション発売戸数は7万2967戸であった。

 

2023年は約7.5万戸(前年比+2.8%)の供給が見込まれている。マンションは最も土地を効率的に利用する用途の1つであり、今後も全国的な供給は続くと考える。

 

6. まとめ

首都圏新築マンションは、価格の上昇と供給減が続いている。初月契約率は70%を割り込む月もあるものの、概ね良好な状態である。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月28日に公開したレポートを転載したものです。

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