(※写真はイメージです/PIXTA)

公正証書遺言とは、公証人の関与を受けて作成する遺言書です。作成には手間や費用がかかるものの、もっとも無効となりづらく確実な遺言方式であるといえます。しかし、公正証書遺言を遺しても、相続人がもめるケースはゼロではありません。そこで本記事ではAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、公正証書遺言があってももめるケースの紹介とともに、もめないための対策について解説します。

2.遺留分を侵害している場合

遺留分とは、子や配偶者など一定の相続人に保証された、相続での最低限の取り分です。遺留分割合はそれぞれ次のとおりです。

 

・配偶者または子が相続人である場合: 2分の1

 

・直系尊属(父母や祖父母)のみが相続人である場合: 3分の1

 

・兄弟姉妹や甥姪:遺留分なし

 

相続人が複数いる場合には、上記の遺留分割合に、法定相続分という相続の割合を乗じたものが、最終的な遺留分割合になります。

 

遺留分を侵害した遺言書も有効であり、遺留分を侵害する内容の遺言を公正証書で作成することもできます。たとえば、長男と二男がいるにもかかわらず、長男に全財産を相続させるという内容の遺言を作成することもできるということです。

 

しかし、この場合には相続が起きたあとで、二男から長男に対して「遺留分侵害額請求」がなされる可能性があります。遺留分侵害額請求とは、侵害した遺留分相当額を金銭で支払うよう請求することです。この請求がされると、実際に長男は二男に対して、侵害額相当分の金銭を支払わなければなりません。

 

そのため、仮に遺留分を侵害する遺言書を作成するのであれば、将来遺留分侵害額請求がなされる可能性を十分に考慮したうえで作成する必要があるでしょう。

 

3.使途不明金がある場合

相続が起きたあと、使途不明金にまつわるトラブルが発生するケースは少なくありません。たとえば、母が亡くなったあとに母の預金口座を調べたところ、生活費を上回る多額の引き出しがなされていた場合などが挙げられます。また、相続が起きたあとでキャッシュカードを使って預金が引き出されるケースもあります。

 

このようなトラブルは、公正証書遺言があっても防ぐことは困難です。公正証書遺言を作成したからといって、その後預金の引き出しなどが制限されるわけではないためです。相続にまつわる使途不明金トラブルが発生した際には、弁護士へご相談ください。

 

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