(コアサービス価格(住居費))住居費は高水準もピークアウトした可能性
CPIのコアサービス価格のおよそ6割を占める住居費は21年以降上昇基調が持続し、23年3月には前年同月比+8.2%と82年6月以来の水準に上昇しコアサービス価格を大幅に押し上げていたものの、23年6月は+7.8%と小幅ながら3ヵ月連続で低下するなど頭打ちの兆しがみられる(図表8)。
また、住居費の上昇に先行してきた住宅価格も主要な指数であるFHFA住宅価格指数、ケース・シラー住宅価格指数ともに22年の春先につけた20%前後のピークから23年4月が前年同月比でそれぞれ+3.1%、▲0.2%まで低下しており、伸びの鈍化が鮮明となっている。
さらに、住居費のうち、家賃指数は23年6月が+8.3%とこちらも依然として高い伸びを示しているが、23年4月の+8.8%からは2ヵ月連続で低下した(前掲図表9)。
また、家賃指数の動きに1年先行するとされる不動産情報サイトのZillowが推計する観察家賃指数(Zillow Observed Rent Index)は22年2月に前年同月比+16.2%でピークアウトし、23年6月の+4.1%まで大幅に低下している。
このため、今後の家賃指数は低下基調が持続する可能性が高いとみられる。
(コアサービス価格(除く住居費))ピークアウトも今後は賃金動向が左右
CPIのコアサービス価格のうち、住居費を除いた指数は22年9月の前年同月比+6.5%をピークに23年6月が+4.0%まで低下した(図表10)。パウエルFRB議長は同指数がサービス業を中心に賃金との連動性が高いことを指摘している。
そこで労働需給と賃金動向を確認すると、失業率が23年6月に3.6%と1969年以来、およそ50年ぶりの水準になるなど労働需給は非常に逼迫しており、労働需給の逼迫を背景に時間当たり賃金は23年6月が前年同月比+4.4%と22年3月の+5.9%から低下したものの、新型コロナ流行前の3%近辺を依然として1%以上上回っている。
また、賃金・給与に加え給付金も含めた雇用コスト指数は23年1-3月期が前年同期比+4.8%とこちらも新型コロナ流行前の2%台後半を大幅に上回っているほか、22年10-12月期につけた+5.1%からの低下幅が+0.3%ポイントに留まるなど、時間当たり賃金に比べても低下が非常に緩やかになっている。
コアサービス価格(除く住居費)は今後も低下基調が持続するとみられるものの、労働需給の逼迫が続く中で賃金上昇圧力は燻っており、今後の低下スピードは緩やかに留まるとみられる。
(期待インフレ率)金融市場や専門家調査はインフレの緩やかな低下を予想
最後に金融市場が織り込む5年先5年の期待インフレ率は22年4月下旬に一時2.7%弱まで上昇したものの、23年4月以降は2.2%~2.3%と概ねFRBの物価目標(2%)と整合的なレンジで推移している(図表11)。
一方、家計が予想する今後1年間のインフレ率予想(前年同月比)は22年3月から4月にかけて+5.4%と81年11月以来の水準に上昇した後、23年7月は+3.4%まで低下した(図表12)。また、今後5~10年平均のインフレ率予想は22年9月の+2.7%から7月は+3.1%と小幅に上昇した。
次に、FRBが重視する経済の専門家が予想するCPI(前年同月比)の今後5年間と10年間の平均は23年4-6月期が今後5年間で+2.5%と22年10-12月期の3.8%から低下しているほか、今後10年間も+2.4%と22年10-12月期の+3.0%から低下し、両者ともに概ねFRBの物価目標に近い水準で推移している。
このため、家計調査では短期、長期ともに高止まりがみられるものの、金融市場や専門家調査のインフレ予想は概ねFRBの物価目標と整合的な水準に落ち着いてきており、期待インフレからは今後もインフレが緩やかに低下する可能性が示唆されている。
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