(写真はイメージです/PIXTA)

6月の消費者物価指数の調査対象品目のうち、前年に比べ上昇した品目数の割合は83.9%となりました。とくに、生鮮食品を除く「食料」については、97%とほぼすべての品目で上昇がみられました。本稿ではニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏が、23年6月の消費者物価について品目ごとの動きをみながら、23年末に向けた物価動向の見通しを解説します。

1.電気代の値上げがコアCPIを押し上げ

総務省が7月21日に公表した消費者物価指数によると、23年6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.3%(5月:同3.2%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:3.3%、当社予想も3.3%)通りの結果であった。


家具・家事用品の伸びが5月の前年比9.6%から同8.6%へと鈍化したが、規制料金の値上げによって電気代の下落率が縮小したことがコアCPIを押し上げた。


生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比4.2%(5月:同4.3%)、総合は前年比3.3%(5月:同3.2%)であった。

 

コアCPIの内訳をみると、ガス代(5月:前年比2.0%→6月:同▲1.1%)は1年10ヵ月ぶりに下落に転じたが、電気代(5月:前年比▲17.1%→6月:同▲12.4%)、ガソリン(5月:前年比▲1.7%→6月:同▲1.6%)、灯油(5月:前年比▲2.5%→6月:同▲2.2%)の下落率が縮小したことから、エネルギー価格の下落率は5月の前年比▲8.2%から同▲6.6%へと縮小した。ガソリン、灯油は6月から燃料油価格激変緩和措置の補助が段階的に縮減されていることが価格の押し上げにつながっている。

 

 

食料(生鮮食品を除く)は前年比9.2%(5月:同9.2%)となり、上昇率は前月と変らなかった。麺類(同11.8%)、菓子類(同10.8%)、調理食品(同9.9%)など、原材料費の上昇を価格転嫁する動きは続いているが、外食が前年比6.0%(5月:同6.4%)と3ヵ月連続で伸びが鈍化した。

 

 

サービスは前年比1.6%(5月:同1.7%)と上昇率が縮小した。外食の伸びが鈍化したほか、全国旅行支援による押し下げ幅拡大から、宿泊料(5月:前年比9.2%→5月:同5.5%)の伸びが鈍化した。なお、全国旅行支援の影響を除いた宿泊料は23年4月の前年比13.1%から5月が同14.3%、6月が同18.6%(いずれも当研究所の試算値)と上昇ペースが加速している。


 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.58%(5月:▲0.72%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.88%(5月:1.86%)、その他財が1.23%(5月:1.20%)、サービスが0.89%(5月:0.91%)、全国旅行支援が▲0.13%(5月:同▲0.05%)であった。

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月21日に公開したレポートを転載したものです。

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