7月30日は土用の丑の日。この時期には夏の暑さに対する滋養強壮としてウナギを食べる習慣がありますが、そこでふと疑問。ウナギは絶滅危惧種……果たして口にしていいものなのでしょうか。みていきましょう。

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    今年のウナギの稚魚は歴史的な不漁だった

    もうすぐ土用の丑の日。

     

    東京では猛暑日が続いています。夏バテ防止にウナギでも食べに行こうかという会話が聞こえてきそうです。しかしその二ホンウナギは絶滅危惧種。伝統的な食文化の危機として報道でも取り上げられるようになりました。

     

    また、この時期には必ず、ウナギの稚魚が豊漁、もしくは不漁と話題になります。

     

    今年2023年の2月末までのウナギの稚魚、シラスウナギは全国各地で歴史的な不漁に陥っていました。「絶滅危惧種のウナギを食べていいのか、いけないのか」といった議論もおきています。

     

    そもそもなぜ二ホンウナギは絶滅が危惧されるほど少なくなったのでしょうか。

     

    二ホンウナギはその一生のほとんどの時間を日本の海岸や川で暮らします。この成長期の環境が二ホンウナギにとって不都合な環境になっていることが見えてきています。

     

    毎年4月~8月頃に産卵して、6ヵ月程度の時間をかけて、東アジア沿岸域にやってきます。数年~数十年かけて40~50cm以上に成長し産卵場所に向かうという一生を送っています
    ウナギの一生 毎年4月~8月頃に産卵して、6ヵ月程度の時間をかけて、東アジア沿岸域にやってきます。数年~数十年かけて40~50cm以上に成長し産卵場所に向かうという一生を送っています
     

    ニホンウナギの稚魚は日本の沿岸にやってくると細長い、円筒形の体形のシラスウナギとなり、満ち潮に乗って河川に入り、エビやカニ、小魚や昆虫などさまざまな餌を食べ、成長しながら、沿岸の海水域から上流域まで分布していきます。

     

    しかし、これまでの研究では堰の高さが40㎝となるとその上下流でのウナギの生息密度が大きく異なることがわかっています。つまりニホンウナギは40㎝以上の堰を超えることが難しい ということです。日本の川にどれだけの堰があるのでしょうか。そしてその高さはどれくらいあるのでしょうか。魚道はついているのでしょうか。

     

    日本自然保護協会では過去に5回、市民参加型の日本の自然の健康診断「自然しらべ」で川を調査しました。その結果は、明らかに川の周辺環境が悪化したという川は減ってきているというものでしたが、実はウナギ目線で川の状況を見てみるとどうも違った状況がみえてきました。

     

    2017年の「自然しらべ」では、身近な河川に多くの堰のような河川横断工作物が存在していることが明らかにされました。計算を行った範囲では、川の流れ1kmにつき、1.6基も40cmを超える河川横断工作物が存在していました。

     

    高密度で存在する障害物は、海で生まれたニホンウナギが成育場である河川へ侵入することを阻んでいます。川をきれいにすることや、コンクリート護岸を土や植生のある水際に戻していくことなど、各河川の環境の回復も水辺の生物にとって重要ですが、海と川を行き来するウナギのような生き物が成長する場を考えた時、最優先すべきは、海と川のつながりを取り戻すことです。 

     

    海と川のつながりを回復するためには、河川横断工作物を撤去することが最善です。その必要性を再検証した上で、必要性が高く撤去が難しい工作物については、適切な魚道を設置する必要があります。魚道は、あれば良いというものではなく、様々な生物の生態を考慮し、それぞれの環境に適合した、効果的な施設である必要があります。

     

    ちなみに、2020年はウナギの稚魚が豊漁と言われましたが、これはこの数年の中では少しだけ増えているというだけです。1960年から現在にいたるまで稚魚の漁獲量の変化は明確な減少傾向が続いています。

     

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