7月30日は土用の丑の日。この時期には夏の暑さに対する滋養強壮としてウナギを食べる習慣がありますが、そこでふと疑問。ウナギは絶滅危惧種……果たして口にしていいものなのでしょうか。みていきましょう。

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    このままでは世界中のウナギを食い尽くす!?

    さらに、国内でのウナギの供給量は、稚魚を輸入して養殖する分も含めたニホンウナギの国内養殖生産量の、倍の量のヨーロッパウナギやアメリカウナギなどを輸入してまかなっていますが、ヨーロッパウナギも2009年から貿易規制の対象となり、供給量全体もピーク時の3分の1程度に減少しています。

     

    出典:ウナギをめぐる状況と対策について(2023年2月水産庁)
    日本のウナギ供給量の推移 出典:ウナギをめぐる状況と対策について(2023年2月水産庁)

     

    ニホンウナギがしっかり成長できる環境が戻らない限り、ニホンウナギが絶滅危惧種の指定からかわることはありません。また、減った分を他のウナギの輸入に頼って消費していくと、ニホンウナギ以外のウナギもやがて枯渇し、ウナギの種全体が生物多様性保全上の危機を迎えていきます。

     

    世界の野生生物の絶滅のおそれのある状況を示した、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、表のように、日本で食されている、ニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなどはみな、すでに近い将来絶滅の危険性が高いという絶滅危惧種に指定されています。

     

    出典:ウナギをめぐる状況と対策について(2023年2月水産庁)
    ウナギ類の絶滅危惧種指定状況 出典:ウナギをめぐる状況と対策について(2023年2月水産庁)

     

    国も何とか、稚魚の減少を食い止めようと、ウナギ稚魚の密漁について罰則を強化する漁業法の改正を行いました。

     

    今年2023年12月からシラスウナギ漁の許可制度が改正され、密漁や違反などの罰則が大幅に強化され、違反や密漁をした場合、従来は6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金だったものが、3年以下の懲役または3000万円以下の罰金に引き上げられます。

     

    また2025年12月からは、シラスウナギも水産流通適正化法の対象となることが決定し、漁獲から消費者に至る流通履歴を透明化して密猟や違法操業による流通を防止しようとしています。

     

    ちなみに夏の土用の丑の日には、「う」のつく食材を食べると夏バテしないと言われ、ウナギだけでなく、梅干し、うどん、瓜(キュウリやスイカ)なども無病息災の祈願の行事食として食べられてきました。ほかにも厄除けの土用餅(あんころ餅)、夏が旬の土用しじみ、土用の時期に産み落とされた土用卵なども各地で食べる風習が残っています。

     

    栄養価のバランスの取れた食事で、夏バテは撃退しながら、ウナギの生息環境や世界での絶滅状況の実態がわかれば、きっと持続可能な利用の仕方を考えることができるはずです。安心して、「ウナギでも食べに行こうよ!」と会話できるような社会にしたいものです。

     

    公益財団法人 日本自然保護協会(NACS-J)

     

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