(※写真はイメージです/PIXTA)

今年も台風シーズンが到来。土砂崩れや河川の氾濫、家屋の床上浸水といったニュースが多く報道されています。地球温暖化の影響か、年を追うごとに台風の被害規模が大きくなっているような印象です。中古マンション市場においてもその影響は大きく、成功者の象徴ともいえる「タワーマンション」ですらその資産価値を貶められるケースもあるのです。

「情報開示」か、「隠蔽」か

台風19号で被災したタワマン2棟のうち、Aマンションの管理組合はとても迅速に災害対応しました。組合員(マンション所有者)が総力を結集し、配電室からバケツリレーで雨水を排出、敷地内に堆積した泥の除去も行ないました。これら復旧作業の様子は、第三者も閲覧できる管理組合のホームページで現在も公開されています。

 

一方、Bマンションは被災の状況を一切公開していません。噂によると、Bマンションの所有者間で被災の事実を口外しないよう促すような圧力もあったようです。

 

確かに、消費者は“見える情報”にのみ左右されます。今後これら2棟の販売物件が中古マンション市場に出た場合、被災状況が明確な物件とそうでない物件が並んでいれば、多くの購入希望者は後者を選ぶでしょう。ネガティブ情報は開示しない方が賢明なのかもしれませんが、「隠ぺい工作が横行するのは不動産業界の常」と疑ってかかる消費者も少なからず存在します。だからこそ「明朗な情報開示が重要」と考える不動産業者や管理会社もあります。

 

積極的な情報開示をするAマンションと、頑なに情報を隠蔽するBマンション、どちらが正解かはわかりません。それは今後の中古マンション市場で明らかになることでしょう。

まとめ

台風シーズンになると思い出すのは、武蔵小杉タワマン群の浸水被害です。この時は武蔵小杉駅周辺に建つ2棟のタワマンのライフラインが完全にストップしてしまい、復旧まで5日から8日もかかっています。川崎市に寄せられた市民からの「浸水被害軽減に向けた要望書」によると、「浸水の原因は多摩川沿いにある排水桶管のゲート封鎖が遅れたこと」と指摘するものがほとんどでした。

 

浸水被害に遭った2棟のタワマンの対応は、かたや被災状況の情報を潔く開示、かたや固く口を閉ざして情報を隠蔽するという真逆のものでした。この態度の違いが消費者にどう受け止められることになるのか、中古マンション市場においてその答えが出ることになるでしょう。

 

 

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